英語の呼吸、いきなり飛んで「拾壱ノ型」です。
「拾壱ノ型」でピンと来た方もおられると思いますが、水柱・冨岡義勇さんが独自で編み出した「水の呼吸・拾壱ノ型『凪』」をオマージュしています。
この技は同じ呼吸の使い手、炭治郎も、村田さんも、育手の鱗滝さんも使えません。
この「英語の呼吸・拾壱ノ型」も、通常の学校英語教育では教えられない技です。
(一部進学校や塾、先生は教えています)
多くの人が知らない「拾壱ノ型」を、あなたも使えるようになりたいと思いませんか?
目次
英語の呼吸・拾壱ノ型
水の呼吸の拾壱ノ型、『凪(なぎ)』は、すべての攻撃を無効化するという、とんでもない技です。
英語の呼吸・拾壱ノ型も、
どんな難しい英文が来てもそれを無害化(笑)してしまう、恐ろしい技です。
その名も「スラッシュリーディング」。
「スラッシュ(slash)」は、実は『鬼滅の刃』英語版にも登場する言葉です。
例えばこちら、
炭治郎
First form(壱ノ型)
Water surface slash!(水面斬り)
「壱ノ型・水面斬り」の英訳にも使われていますが、「slash=斬る」という意味ですね。
拾壱ノ型:スラッシュリーディング(読み斬り)
では「スラッシュリーディング」とは具体的にどんな技なのか、説明していきますね。
「スラッシュ」とは「切る」という意味ですが、ただただ切るだけではなく、刃物などでズバッと切る(=斬る)ことです。
しかし、そんな物騒なことではなく、実はパソコンのキーボードにもある「/」のことをスラッシュ、というんですね。
前後を区切るために使う記号です。
この「/(スラッシュ)」を使いながら、
文をぶった切って読んでいくリーディング技を、「スラッシュリーディング」というわけです。
これはもう、やってみた方が早いです。
短い文であれば、
壱ノ型(第1文型)~伍ノ型(第5文型)までの方が理解が早かったりしますが、長文問題の場合は特にスラッシュリーディングが有効です。
コツは「主語」と「動詞」を見つけて、そこからひとかたまりの文を見つける方法です。
つまり、最低でも「壱ノ型(第1文型)」も理解していないとできないぞ、という技です。
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英語の呼吸「壱ノ型(第1文型)」
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実践!スラッシュリーディング
それでは、どうやってスラッシュリーディングをしていくのか、という実践編です。
これはもう、慣れが必要ですが、やりながらポイントを解説していくのでご安心下さい!
まずは呼吸を整えよう
まずは、文を斬るポイントを抑えましょう。
斬るポイントは自由ですが、基本的には、
ポイント
スラッシュリーディングの「斬る」ポイント
①主語+動詞(わかれば補語や目的語も)
②,の位置
③接続詞の前(but、because、whenなど)
④前置詞の前(in、of、withなど)
⑤不定詞・動名詞の前(to see、reading*など)
⑥副詞の前(then、so、tooなど)
⑦関係代名詞の前(that、who、whichなど)
*be動詞+~ingの進行形ではない
などで文を斬るポイントを見つけられるとよいですね。
ただ、この「接続詞」「前置詞」「不定詞」などがわからないとなんともわからないので、こういった品詞を理解しておくことが大事です。
とはいえ、自分がわかるものだけでもいいので、斬れるものは斬っていきます。
ただ、「The Twelve Kizuki(十二鬼月)」のようなものを「The / Twelve Kizuki」と斬る意味はありません。
ひとかたまりにできるもの、ひとかたまりとして理解できる物を斬り分けるのが、スラッシュリーディングですので、名詞とか形容詞とか、単語が複数並んでいても、ひとかたまりとして理解した方がいいものは残す、というのも大事です。
最初は、斬るポイントが多くなりがちですが、慣れていけば、それが少なくなっていきますので、難しく考えずに、挑戦することが大事です。
なお、このブログでも、スラッシュリーディングを何回も使っていきますので、そういうので学んでもよいです。
いざ、斬る(スラッシュ)
それでは練習編です。
まずはこちらの優しい胡蝶さんのシーンから。
胡蝶しのぶ
Your jaw is hurt, so drink slowly... then you can talk.
顎を痛めていますから ゆっくり飲んで 話してください
※jaw=顎(あご)
この文の「,」の前は主語と動詞がある一つの文として成立しています。
また、「,」の後の「so」は「そう、だから」という意味のある副詞ですから、「,」のポイントで斬ります。
他には、「then」には「その時、それから、それなら」というような意味がある副詞になり、その後に「you can talk」という文(節と言う)があるのでこれをひとかたまりとして読み解くわけです。
スラッシュリーディング
Your jaw is hurt, / so drink slowly... / then you can talk.
あなたの顎は傷ついている / だからゆっくり飲んで / それから話せます
⇒顎をケガしているから ゆっくり飲んで 話せるようになる
(原作)顎を痛めていますから ゆっくり飲んで 話してください
日本人が英語の和訳で苦戦するのは、日本語と英語の語順が違うからです(下記参照)。
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参考英語の「型(英文法)」を学ぶ重要性
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今回の例は、文の切れ目がわかりやすいものでしたが、実際こんな簡単なものばかりじゃありません。
簡単な、「型」に当てはめられる文なら難しくはありませんが、長い文になればなるほど、その語順の読み取り方で間違うことがままあります。
そんな時に活躍するのが、英語の呼吸・拾壱ノ型「スラッシュリーディング」なんですね。
どんな文でも前から斬る
それではせっかくなので胡蝶さん絡みでもう少し難しい物にチャレンジしてみます。
これは蝶屋敷で治療中の善逸のモノローグです。
これもスラッシュリーディングして、前から文を考えると、日本語訳がイメージしやすくなります。
スラッシュリーディング
But she was like a goddess / when she healed the people / who became spiders.
でも彼女は女神のようだった / 彼女が人々を治療していた時 / 蜘蛛になった人たち
⇒でも蜘蛛になった人たちを治療していた時の彼女は女神のようだった
(原作)でも蜘蛛にされた人たちを治療してる時は女神のようだったな
いかがでしょうか?
英文だけ見て、それに一つひとつ訳語を割り当て、順番を考える・・・というよりかは、英文のひとかたまりずつ前から訳して、日本語に合うようにすればいいわけです。
テストでは「時制(~だった、とか)」をしっかりと合わせないと減点ですが、こういったただの翻訳(この場合「治療してる」は英語では過去形)や長文読解であれば、意味が通じればOKですよね?
フィーリングのようであり、フィーリングではない。
でも、フィーリングのようにも使える、それがスラッシュリーディングです。
スラッシュリーディングのメリット
また、スラッシュリーディングを使うと、「to不定詞」「関係代名詞」など、頭に入りにくい文法用語の内容を、授業で聞くよりもすんなり理解できるようになります。
関係代名詞?不定詞?よくわからん!という人に
たとえば関係代名詞には、「・・・who I talk about」というケースと、「・・・who told them」のように、主語があったりなかったりするケースもあります。
これを「目的格のwho」「主格のwho」で、こうやって使うんだよ~、thatも使えるよ~と先生が教えてくれるわけですが、死ぬほどわかりにくいですよね?
不定詞とか副詞、前置詞なども同じです。文法が、難しすぎる。
少なくとも私は在学中に完璧に理解できたためしがない。
しかし、スラッシュリーディングを使えば、
「一体どういう文なんだ?」
というようなわかりにくい文でも、わかる内容で斬っていけば、細かい文法の話がわからなくても、意味が見えてくるようになります。
たとえば「to不定詞」が入っているこの文を見ていきましょう。
神崎アオイ
It wasn't long, but I'm glad we got to spend time together.
短い間でしたが 同じ刻(とき)を共有できて 良かったです
※together=一緒に、共に
この文は、「was」「am」「got」「spend」という感じで動詞がたくさんある、ややこしい文ですね。
これらの動詞の入った文をスラッシュで切り分け、前から順番に訳していくと、「I'm glad」「we got」などのように「主語+動詞(前者は形容詞も)」の文が見えてきますので、そこも斬ります。別の文として理解するわけです。
普通、文と文をつなげる場合は「and」などの「接続詞」でつなぐか、「関係代名詞」で繋ぐわけです。
今回、「I'm glad」と「we got」の間には接続詞がありませんから、ここには本来「that」が入り、省略されている文、というのがわかります。
ただ、ここではその「関係代名詞」の意味を考える必要はありません。
「but I'mglad(私は嬉しい)/we got(私たちが手にした)」のままでいいです。
続く「to+動詞の原形」以降の部分は、
主語も動詞もないオマケの意味になっているのがよくわかると思います。
これが、「to不定詞」なんですね。
それがわかりさえすれば、「to不定詞」の「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」など考える必要もなく、
極端な話、「spend(費やす)」がわからなければ、「to spend time together」を「we got」したと、英語で理解したっていいんです。
そうすると、
スラッシュリーディング
It wasn't long, / but I'm glad / we got / to spend time together.
長くなかった / しかし私は嬉しい / 私たちが手にした / 刻を共に費やすこと
⇒長くはありませんでしたが、私たちが共に刻を過ごせて嬉しいです
(原作)短い間でしたが 同じ刻を共有できて 良かったです
というように理解することができます。
スラッシュリーディングの最大のメリットは、意味が完璧に理解できない長文でも素早く理解できる、ということです。
文全体の意味が分かれば、そこに入る単語の「正確な訳」を導き出すことも出来ます。
それに加えて、単語の本来の意味がわかっていれば、さらに正確な意味がつかめます。
つまり、英語を知れば知るほど、スラッシュリーディングの効果が増すのです。
全集中・常中を体現したスラッシュリーディング
スラッシュリーディングは、日本語で英語を考えるのではなく、英語の読み方で英語を理解する、というやり方です。
先ほどの例のように、スラッシュリーディングは、常に前から文を読み、そのかたまりごとに意味を理解していきます。
これは、英語圏の人が英語を話すのと同じ順序ですよね。
つまり、全集中・英語の呼吸・常中、ということです。
我々日本人が、英語で何も話せないのは、会話の練習をしてなかったり、ペーパーテスト至上主義で「間違った英語」を使うことすら恐れてしまうという理由もありますが、英語的に考えて文を読んだり書いたり話したりできない、という理由もあります。
なにせ、問題文の「日本語訳」から考えて英文を書いたりする問題があるわけですからね。
(「彼らが」と書いてあれば「they」と書く、みたいな)
しかし、英語の呼吸・拾壱ノ型「スラッシュリーディング」をマスターすれば、「凪」を身につけた冨岡さんのように、どんな英文が来ても、英語的に理解することができるので、怖いものなどなくなるわけです。
むしろ、このスラッシュリーディングを身につけないと、たとえマンガでも、翻訳版はなかなか読み進めることは出来ないです。
逆に、スラッシュリーディングを身につけるには、興味がある、翻訳しがいのある長文を読むのがいいんですね。
超長い英文だって、スラッシュリーディングでなんとかなる!
最後に、スラッシュリーディングのスゴさを実感してもらうため、超長い文を和訳して行きましょう。
せっかくなので蝶屋敷シリーズで、栗花落カナヲの長い長いセリフから。
栗花落カナヲ
I toss this to decide things for which I haven't been told what to do.
指示されてないことはこれを投げて決める
Just now, I decided whether I would speak to you or not.
今あなたと話すか話さないか決めた
Heads meant I wouldn't, and tails meant I would.
“話さない”が表 “話す”が裏だった
It came up tails, so I spoke.
表が出たから話した
長っ!!
これをスラッシュリーディングを使わずに理解する方が大変なので、ぜひともスラッシュリーディングをして行きます。
長いので一つずつ行きますね。
スラッシュリーディング
I toss this / to decide things / for which I haven't been told / what to do.
私はこれを投げる / 物ごとを決めるために / 言われていないことのため / 何をすべきか
⇒私は何をすべきか言われていないことを決めるためにこれを投げた
(原作)指示されてないことはこれを投げて決める
こうやって斬れば、「I(主語)+動詞(toss)+目的語(this)」の文に、「to不定詞」に、「for which」という「前置詞+関係代名詞」で中身は現在完了形の否定形に、「what to do(何かすること⇒何をすべきか)」という慣用表現で文が出来ていることがわかりやすくなりますね。
ちなみに文型は、「S+V+O+O」の「肆ノ型(第4文型)」で、「for which」以降は目的語(to decide things)を修飾していると考えられます。
スラッシュリーディング
Just now,/ I decided / whether I would speak to you or not.
ちょうど今、 / 私は決めた / あなたと話すべきか否かどうか
⇒今、あなたと話すべきか否かを決めた
(原作)今あなたと話すか話さないか決めた
「Just now」は定型表現で、その後に「主語+動詞」、「whether」は接続詞ですが「whether A or B(AかBか)」という定型表現で、「or」の入る文はひとまとめとして考えられますね。
ちなみに文型は、「S+V+O」の「参ノ型(第3文型)」です。
スラッシュリーディング
Heads meant I wouldn't, / and tails meant I would.
表が意味したのは“私はしないつもり”、 / そして裏が意味したのは“私はするつもり”
⇒表が“しない”の意味、裏が“する”の意味だった
(原作)“話さない”が表 “話す”が裏だった
「I」の前でも斬れますが、今回は「and」の前後が対比の文になっているので、「and」だけで斬りました。
ちなみに「heads」は「頭」転じて「表」、「tails」は「尻尾」転じて「裏」を表し、「meant」は「mean(意味する)」の過去形・過去分詞です。
スラッシュリーディング
It came up tails,/ so I spoke.
それで裏が上に来た、 / だから私は話した
⇒裏が出た、だから話した
(原作)表が出たから話した
「,」の前後でそれぞれ「主語+動詞」がある文なので、それぞれを訳せばよいですね。
ちなみに「It came up tails」は、「It(コイントスの結果)=tails(裏)」で「O=C」の関係が成り立ち、「S+V+C」の「弐ノ型(第2文型)」。
後ろの「(so)I spoke」は、動詞の後に何も来ないので、「S+V」の「壱ノ型(第1文型)」。
このように、スラッシュリーディングを使うことで、難しく感じてしまう「型(文型)」をさらに理解しやすくなるのです。
つまり、英語の呼吸・拾壱ノ型は、全ての型をより使いこなせるようになる、と言えるかもしれませんね。