『鬼滅の刃』研究・考察

「霹靂一閃」ってどんな意味?「霹靂」って何?由来は?~「霹靂一閃」考~

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『鬼滅の刃』のキャラクター人気投票で見事一位に輝いた、

我妻善逸(あがつまぜんいつ)の

唯一の必殺技とも言える、

 

雷の呼吸・壱ノ型

「霹靂一閃(へきれきいっせん)」

 

今回はこの技の意味や由来を、研究・考察してみたいと思います。
英語はほぼ関係ないですが、外国語には関係します!)

 

「霹靂一閃」とは?

「霹靂一閃」とはどんな技?

壱ノ型「霹靂一閃(へきれきいっせん)」は、

雷の呼吸のすべての「型」に通じる

基本中の基本の型です。

 

技としては、

通常の抜刀術よりも前のめりになって、

後ろ脚を大きく引くのが特徴。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第3巻(集英社)

 

そして、

「全集中の呼吸」で足に力を溜め、

雷が落ちたような激しい音と共に発動する、

高速の抜刀術(居合い斬り)

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第3巻(集英社)

 

あまりにも速いため、

マンガでは善逸の

斬っている瞬間を描かず

斬った後の姿しか描かない

という技法で、その速さを表現しています。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第3巻(集英社)

まさに、目にも留まらぬ速さ、ということですね。

 

「霹靂一閃」の応用技

不器用な善逸は、

六つある「雷の呼吸」の内、

一つの型しか極めることは出来ませんでした。

 

しかし、

師匠である元鳴柱・桑島慈悟郎(通称じいちゃん)が、

「とにかく一つでも良いから極めろ」

という言葉(&激しい折檻)を受けながら修行し、

「壱ノ型」をトコトン昇華することができました。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第4巻(集英社)

 

その結果として実戦中に生まれたのが、

雷の呼吸 壱ノ型

「霹靂一閃・六連」

「霹靂一閃・八連」

「壱ノ型」を連続で出し続けるという方法です。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第7巻(集英社)

 

他にも、

「霹靂一閃・神速」といった、

さらにスピードを上げたものも編み出します。

 

まさに不器用で一つのことしか出来ない善逸らしい、

短所の克服の仕方だったわけですね。

 

 

「霹靂一閃」の由来を考える

「霹靂(へきれき)」の意味は?

ではそもそも、

「霹靂(へきれき)」ってなんでしょう?

 

「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」

という言葉がありますが、

なんとなく「衝撃が強い」意味で使う、

という感じでおぼえている人も多いのではないでしょうか?

 

でも、しっかりと辞書で調べると、

 

広辞苑 第七版

(青天ににわかに起こるかみなりの意)突然に起こる変動、または急に生じた大事件。

・・・という意味だったんですね。

 

ちなみに

「霹靂(へきれき)」の意味はこちら。

 

広辞苑 第七版

霹靂(へきれき)
①急激な雷鳴(らいめい)。
②はげしい音響の形容。

 

あくまでも

「雷鳴=雷の激しい音」

であるところがポイントですね。

 

実際、

先ほど見ていただいたシーンでも、

「霹靂一閃」の時には

「ドン」という激しい音を立てています。

 

「青天の霹靂」も、

青い空が広がっているのに、
突然、雷の「激しい音」がする

ということを表しています。

そりゃ衝撃ですよね?

 

この本来の意味を知れば、

「青天の霹靂」の衝撃感がよりわかります。

 

なお、

霹靂=激しい雷鳴なので、

英語版でもその辺を意識した訳になっています。

参考雷の呼吸・壱ノ型「霹靂一閃」を英語で?【難易度★★】

おはようございます! 今日はハロウィンですね。   ハロウィンといえば、黄色とオレンジがトレードマークの善逸ですよね(←ムリヤリ)。 う=ん、デフォルメすると尚更カボチャ感。   ...

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「霹靂=雷鳴?」

ちなみになぜ、

「霹靂(へきれき)」

という

「雷」が入っていない言葉が雷鳴を表すのか?

 

それには理由があります。

 

そもそも、

「霹靂(へきれき)」という読みは、

雨かんむりの下の部分

「辟(ヘキ)*」+「歷(レキ)**」の音読みです。

*壁(かべ、ヘキ)や癖(くせ、ヘキ)の音
**歴の木の部分が禾

 

つまり、

「ヘキレキ」

という読みは中国発祥の表現なんですね。

 

そして、

それぞれの漢字にはこんな意味があります。

霹(ヘキ)=つんざくような雷の音
靂(レキ)=急に激しく鳴る雷

似たような意味、音ですよね?

 

実は、中国語(漢字)には

同じような意味を連ねて意味を強調するという表現があるのですが、

この「霹靂(ヘキレキ)」についても同じことが言えて、

 

霹靂=凄く激しく急な雷鳴

を表す表現だった、というわけです。

 

ちなみに

「霹靂(へきれき)」が中国発祥なら、

昔の日本では「雷鳴」をどう言っていたかというと、

 

「かみとき」とか
「かむとき」とか
「かむとけ」とか

と言っていたので、

「霹靂」と書いて

「かみとき」「かむとき」「かむとけ」と読ませることもできます*。

*ちゃんとした辞書ならこの読みは記載されていますよ!

 

ちなみに

「かみ」という言葉が入っているように、

「かみなり」は「神」がもらたすものと考えられていました。

 

なので、

「かみなり=神+鳴り」

から来ている、という説があります。余談ですが。

 

つまり、「霹靂一閃」とは?

「霹靂(へきれき)」

の意味が分かったところで、

残るは「一閃(いっせん)」ですね。

 

「一閃」という言葉自体は

よく一刀両断するのを表すのに使う表現ですが、

本来の意味的には、

 

広辞苑 第七版

一閃(いっせん)
ぴかりと光ること。また、そのひらめき。

 

と、一瞬のきらめきのことを指しています。

 

つまり、ピカッと光るような、

恐ろしく速い一撃のことを「一閃」とマンガなどでは使うわけですね。

 

つまりまとめると、

 

「霹靂一閃」とは、

霹靂=凄く激しく急な雷鳴

一閃=光のような一瞬の斬撃

で、

激しい雷鳴とともに行われる、光の速度の斬撃

ということになりますね。

 

なので、実際の雷のように、

「音が後に残される」わけです。

 

「音」より「光」の方が速いですからね。

花火と同じ原理です。

 

「霹靂一閃」の本当の由来?なぜ四字熟語っぽい?

ここからは余談ですが、

「霹靂一閃」の命名の由来らしきものを見つけたのでご紹介します。

 

「霹靂一閃」は

四字熟語ではありませんが、

四字熟語かのように、漢字四文字でまとまっています。

 

それはなぜか?

なぜ四字熟語っぽいのか?

 

実は四字熟語の語源は、

中国の故事に由来します。

 

これまで説明したように、

「霹靂(ヘキレキ)」

という漢字と読み自体、中国由来でしたね。

 

ですから実際、

「霹靂」を使った四字熟語が存在します。

それがこちら。

 

参考

青天霹靂(せいてんへきれき)
思いもかけない出来事。突発的事件、変事がおこることのたとえとして使われる四字熟語です。「晴天」は晴れた空、「霹靂」は急に激しく鳴る雷のことです。(一部抜粋)

霹靂(へきれきいっせい)
急に雷鳴が轟き渡ることを言います。

霹靂(へきれきせんでん)
突然はげしく鳴るカミナリと、ひらめき光る稲妻を表現する四字熟語です。このことから直接雷や稲妻を表すよりは、勢いがあってすばやいことを表すのに使われることが多いです。

(引用元:八重樫一「今日の四字熟語・故事成語」@福島みんなのNEWS

 

いかがでしょうか?

「青天の霹靂」は、

「青天霹靂」から来ていることもビックリされるかもしれませんが、

 

もっと興味深いのは、それ以外の

「霹靂声(へきれきいっせい)」
「霹靂電(へきれきせんでん)」

「一閃」が入っていますよね!?

 

つまり、

「霹靂一閃」は、

「霹靂声」+「霹靂電」

で組み合わせて生まれた言葉ではないのか?

 

霹靂一声=急に轟く雷鳴
霹靂閃電=一瞬の雷のきらめき

という、

それぞれの意味を見るとなおさらそう思えてきてしまいます。

 

 

これは、

あくまでも私の推測というか憶測です。

しかし、

原作者の吾峠呼世晴先生は博識な方と推察されますので、

ここから着想を得たというのも

十分にあり得る、

と思ったりしています。

 

答えは吾峠先生のみぞ知ることですが、

いかようにも読み取れるような、

「深い」命名だと言えますね。

勉強になります。

 

こんなことを思いながら、

善逸の「霹靂一閃」のシーンを見返すと、作者の「想い」を深く感じられるのではないかな、と思います。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第4巻(集英社)

参考文献:『鬼滅の刃』『広辞苑』『新版 漢語林』『角川漢和中辞典』

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