おはようございます!
劇場版『鬼滅の刃~無限列車編』の興行収入が『千と千尋の神隠し』を越えたそうですね。
興行収入が作品の価値とイコールということではありませんが、これだけ集中して上映されて、なおかつ見続けられるということは凄いことですね!
続きが映画になるのかTVになるのかわかりませんが、早いところ他の柱も見たいと思うのは私だけでしょうか?
さて今日も、『鬼滅の刃』原作23巻の発売を記念した、
全国紙5紙の新聞全面広告がネット公開されているのに勝手にタイアップした企画です。、
第9弾を翻訳版が出てない都合で飛ばしていますが、
11弾の玄弥、12弾のも翻訳版が出てないので、またまた飛ばして第13弾、ついに、この「全集中・英語の呼吸」初登場、悲鳴嶼さんです。
(第1弾)(第2弾)(第3弾)(第4弾)(第5弾)(第7弾)(第8弾)(第10弾)
*第6弾は訳が微妙なので飛ばしています
*第9、11、12弾はまだ翻訳された単行本がないため飛ばしています
この、「誰がなんと言おうと私は君を認める」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
疑いは晴れた
※doubt=疑い・疑念
No matter( )anyone says, I respect you, Tanjiro Kamado.
誰がなんと言おうと私は君を認める 竈門炭治郎
※respect=尊重する、敬意を表する
選択肢
①what
②why
③who
④how
目次
答え
正解
疑いは晴れた
No matter what anyone says, I respect you, Tanjiro Kamado.
誰がなんと言おうと私は君を認める 竈門炭治郎
①の「what」が正解でした!
解説
My doubts are gone.
疑いは晴れた
「疑い・疑念」を意味する「doubt」は、
トランプゲームの「ダウト」の語源ですから、「b」は発音しません。
英単語
[名詞]疑い、疑念、疑惑、疑義
[動詞]疑う、怪しいと思う
今回は「My」がついていますので、
名詞としての「疑い」という意味で使われています。
「~ is/are gone」は、
「~が行ってしまった」「~がなくなった」という日常会話表現で、映画などにもよく出ます。
My doubt=私が抱いていた疑い
is gone=行ってしまった
ということで、
疑いがどっか行ってしまった⇒疑いは晴れた
という表現になっているわけですね。
ちなみに「gone」は「go」の過去分詞で、
文法的には、
be動詞+過去分詞で「受動態(受け身)」になる文ですが、
そもそもbe動詞は状態を表す動詞なので、
「行かれた(gone)」状態を表していると理解した方がわかりやすいかもですね。
No matter what anyone says, I respect you, Tanjiro Kamado.
誰がなんと言おうと 私は君を認める 竈門炭治郎
「No matter what anyone says」は、
「誰がなんと言おうと」という定型表現です。
実際、鬼滅英語版では、
無限列車編にて、煉獄さんの同じセリフの英訳でも使われています。
煉獄杏寿郎
On the train, I saw her ...shed her own blood to protect humans.
汽車の中であの少女が 血を流しながら人間を守るのを見た
※shed=(涙や血を)流す
If she risks her life to fight demons and protect people... she's a member of the corps, no matter what anyone says!
命をかけて鬼と戦い 人を守る者は 誰がなんと言おうと 鬼殺隊の一員だ。
※risk=危険にさらす、the corps=the Demon Slayer Corps(鬼殺隊)のこと
煉獄さんも、悲鳴嶼さんも、たくさんの鬼を見て来たからこそ、
「鬼をかばう隊士など殺してしまえ」
と思っていただけあって、
心のどこかで疑念を持っていたわけです。
でも、
実際に竈門兄妹が命がけで人を守る行為を見れば、
心から「No matter what anyone says(誰がなんと言おうと)」と言いたくなるのでしょうね。
「no matter~」を使った表現は奥が深いので、機会があればまたご紹介します!
「I respect you=私は君を認める」?
次のパート、「私は君を認める」の部分は、
I respect you
でしたね。
「respect」は、
「リスペクト」と発音するように、一般的に「尊敬する」という意味のある言葉です。
英単語
[動詞]敬う、尊敬する、尊重する、遵守する
[名詞]尊敬、敬意、尊重、配慮
文法的にもシンプルで、
「主語S+(述語)動詞V+目的語O」という、英語の呼吸・参ノ型(第3文型)ですから、
I=私は
respect=尊敬する
you=君を
で、「私は君を尊敬する」と訳せるわけです。
しかし、普通に考えると、
柱の中の柱、柱オブ柱の悲鳴嶼さんが、炭治郎を「尊敬する」っていうのもヘンな表現な気がします。
原作にある「認める」だったら、
「recognize」「approve」「accept」など、
いろんな表現がある中で、なぜわざわざ「respect」だったのか?
謎ですね。
でも、
もちろん誤訳ではありません。
そもそも、
われわれ日本人が使っている、
「リスペクト」
という言葉は、イコール「尊敬」という意味で使われていますよね?
しかし、
調べてみると、
I respect you=私は君を認める
がいかに適切な訳かということがわかってきたのです。
英語圏での「respect」の本当の意味
そもそも、
「get」が「手に入れる」だけじゃなく「なる」という意味を持つのと同様、
必ずしも
日本語の単語=英語の単語
にはならないこともしばしば、というかたくさんあります。
実は「respect」もその一つ。
大事なのは、
英語圏での感覚(=英語の呼吸)で「respect」を理解することです。
英和辞典には「尊敬」以外にも、
「尊重」「敬意」や「配慮」という意味が書かれていましたが、
「尊敬」と「配慮」って意味が違いますよね?
少なくとも、
カタカナ英語の「リスペクトする」に、
「配慮」という意味は含まれていません。
むしろ、
「リスペクト=絶対的に尊敬する」という意味で使われますよね。
しかし、
英語圏での「respect」には、
「尊敬」という意味もありますが、
どちらかというと「尊重」や「配慮」に近い感覚で使う事が多い言葉だそうです。
詳しいことは、
上記の方たちの素晴らしい記事をご覧いただければわかりますが(英英辞典での意味も)、
英語圏では日常的に「respect」が使われること、
ともに「教育の現場」で特によく使われることをおっしゃっています。
respect というのは、現代の英語圏においては、とても重視されている価値観の一つといえます。
我が家の子ども達はオーストラリアのローカルスクールに通って5年になりますが、親として学校教育に触れてわかったことは、respect という価値観が教育の場でとても重視されている、ということです。(「話す英語。暮らす英語。」様の記事より引用)
私が身近なところで最近感じたのは、娘の幼稚園での教育です。先生たちが、子どもが自分で決めたことを “respect” している現場に遭遇しました。(「日刊英語ライフ」様の記事より引用)
先生が子どもに対して「respect」をしている時点で、
日本語の「リスペクト」や「尊敬する」とは違うニュアンスがあることは伝わりますよね?
多民族国家ならではの、他者の様々な背景を「配慮」して、「敬意」を持って相手を、「尊重」し、「尊敬」するべき時はする、ということが「respect」ということですね。
それぞれが別の意味ではなく、全部を内包しているのが「respect」ということです。
「私は君を認める」
このように、
われわれからすると
I respect you
なんてとても大げさに感じますが、
英語圏で暮らす人たちからすると、
日常的に(特に先生が使ったり)するような言葉が「respect」なんですね。
先生と言えば、
スピンオフ企画『キメツ学園』のちょっと気が抜けてしまう絵ですが、
鬼滅キャラの中で、もっとも先生らしい感じがするのが悲鳴嶼さんですね。
そんな悲鳴嶼さんの言う「認める」はまさに、
英語圏で大切にされている「respect」という概念そのものですよね。
悲鳴嶼行冥
So you have my respect.
私は君を認める
褒めるだけじゃなくて、尊敬するだけじゃなくて、すべてをひっくるめての「認める」なんです。
自分が教えたことを、ということではなく、
人として大切なことを出来ている、
「竈門炭治郎」という存在と言動をすべて含めて「認める」という意味の言葉だから、「respect」なんですね。
そして、そう言った悲鳴嶼さんの言葉に対しても、
頭カチコチ炭治郎は、
自分は十分に出来ているワケではないから、
竈門炭治郎
So I'm not worthy of your respect
認められては困ります
※worthy=値する、ふさわしい
と謙虚な姿勢を見せ、
自分ができたのは誰かの助けがあったからだと、
竈門炭治郎
So don't be too quick to respect me.
だから俺のことを簡単に認めないでください
と言い切った炭治郎。
それを見た悲鳴嶼さんが、行き着いた炭治郎の評価が、冒頭の、
悲鳴嶼行冥
No matter what anyone says, I respect you, Tanjiro Kamado.
誰がなんと言おうと私は君を認める 竈門炭治郎
なんですね。
今日のまとめ
なんだかとっても長くなってしまいましたが、「英語の呼吸(感覚)」で理解することの大事さがわかっていただけたでしょうか?
今回は、「no matter what anyone says」をまるっとおぼえてもらいましたが、「no matter~」を使ったいろんな表現も、英語の感覚で理解できるようになると、もっと英文を理解するが楽になりますよ!
しかしそれはまた、別の機会に!!
まずは、くり返し話して、例文をおぼえることが大事です!
今日の言葉
疑いは晴れた
No matter what anyone says, I respect you, Tanjiro Kamado.
誰がなんと言おうと私は君を認める 竈門炭治郎