『鬼滅の刃』名シーンでわかる英文法

鬼滅の刃の名シーンでわかる「be動詞」の役割

スポンサーリンク

今回は、

簡単なように見えて多くの人がよくわかっていない

「be動詞」の本当の役割について、

いつものように『鬼滅の刃』英語版から大事なポイントを学びましょう。

 

簡単なbe動詞と難しいbe動詞

「am、is、are」などのbe動詞は、

簡単なときもあれば、

難しいときもある不思議な語です。

 

例えばこちらのシーンをご覧ください。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1

鱗滝左近字

I am Sakonji Urokodaki.
儂は鱗滝左近字だ
You must be the one Giyu told me about.
義勇の紹介はお前で間違いないな?

竈門炭治郎

Y...yes. I'm Tanjiro Kamado.
は はい 竈門炭治郎といいます
My sister is Nezuko.
妹は禰豆子で…

炭治郎と鱗滝さんが初めて会ったのち、自己紹介しあうシーンですね。

 

すべての文にbe動詞が使われているのですが、

たいがいの人は、別にそれをおかしいと感じませんよね?

 

なにせ、英語学習は

「I am ○○=私は○○です」という例文から始めますから、

自己紹介=be動詞、とすりこまれているわけです。

 

しかし、じゃぁ、

「なぜbe動詞を使うか?」

という質問をしたらどうでしょうか?

ちゃんと答えられますか?

 

「いってきます」がbe動詞?

その質問の答えに行く前に、

ちょっと日本人には理解しがたい

be動詞を使ったシーンをご紹介しましょう。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1

竈門炭治郎

I'm on my way, Urokodaki.
鱗滝さん 行ってきます
Give my best to Sabito and Makomo!
錆兎と真菰によろしく

※give my best=よろしく伝えて

こちらのシーンは、

主人公・炭治郎が狭霧山での修行を終えて、

最終選別に向かう際に鱗滝さんに「行ってきます」と挨拶して、

鱗滝さんが「なぜお前が…知っている?」となる

原作者・吾峠呼世晴先生のセンスが光る名シーンですね。

 

このシーンの最初のセリフに注目して下さい。

「行ってきます=I'm on my way」になっていますね。

これは、be動詞を使った文ということです。

(「I'm」は「I am」の省略形です。)

 

でも、日本語の「行ってきます」って、

動詞の「行く」を使っているので、

普通に考えたら「go(行く)」を使うべきな気がしますよね。

 

それが英語版では、

一般動詞「go」を使わず、

be動詞の「am」を使っています

不思議ですね。

 

日本語と英語は違うから?

「そういう意味」だから?

では、なぜbe動詞だったのでしょう?

 

「私は○○です」じゃないbe動詞

学校では「I am ○○=私は○○です」で教えてもらいますが、

その感覚で、いわゆる直訳すると

「I'm on my way=私は私の道の上です」という意味になりますね。

 

意味わかります?

意味わかりませんよね?

 

まず、意味だけ説明しておくと、

「I'm on my way」は「いってきます」と訳される定番表現です。

だからこのシーンでこう訳されるのは正解なワケです。

 

だからこれを、

「そういうものだから暗記しろ

という言い方をする人も多いです。

 

確かにそれは正しいのですが、「この言葉」しか見ていない教え方です。

 

なぜなら、こういうやり方だと、

「暗記力のある子」か
「やる気のある子」しか覚えられないんですよね

 

なぜなら、英語はこれ以外にも覚えなきゃいけないことばっかりだからです。

 

こういった「暗記しなきゃいけない」ことが多くなればなるほど、

英語の点数が下がっていく子が多くなり、

結果的にたくさんの「英語嫌い」を生んでいるわけです。

 

逆説的に言えば、

英語という教科が学力の指標にしやすい「受験」の必須科目になっている、とも言えますが、

広い目で見たらこれでいいのでしょうか??

 

「be動詞」を理解することの重要性

ちょっと話がそれましたが、

今の世の中、科学的に、暗記一辺倒よりも

「なぜこうなっているのか」を理解した方が記憶に定着しやすい

ということがわかっています。

 

だったら、

なぜここでbe動詞を使っているのか」を理解しておくことは、

「I'm on my way」を丸暗記するよりもよほど有意義と言えるでしょう。

 

なぜなら、

「暗記」はすぐ忘れてしまうし、

「on my way」や「on the way」「on his way」などの熟語は

be動詞以外にも使い、必ずしも「いってきます」にならないからです。

例文

I tripped on my way to work.
私は通勤の途中で転びました
(出典:Weblio Email例文集)

※tripped=動詞trip(つまずく)の過去形

 

つまり、

be動詞とは何かを正しく理解しておかない限り、

英文中のbe動詞を正しく理解することはできないわけです。

 

それに、言っちゃ悪いですが、

英語が母国語の人なら、学校に行ってなくても英語が喋られるわけですから、

そういう人たちが理解している方法を使えばいいだけですよね?

 

彼らが英語が喋られるのは、

感覚的に「be動詞」の役割が何かを理解しているからです。

日本人が国語の文法を感覚的に理解しているのと同じです。

(理論的に理解しないとテストの点はとれませんが)

 

 

「be動詞」の役割を理解する

そもそも、「I'm on my way」の訳が、

なぜ「行ってきます」なのか?

 

それは、

日本語で「行ってきます」と言う時と、

英語で「I'm on my way」と言う時の

シチュエーションが同じだからです。

 

この、炭治郎が「行ってきます」と言ったシーンがまさにそれで、

文の「意味」が同じなわけではありません

 

でも他にも、

先ほどの「I tripped on my way to work(私は通勤の途中でころびました)」という例文のように、

「I'm on my way」には「移動中」という意味もあります。

 

それは「いってきます」とは

使うシチュエーションが全然違いますよね?

 

そうなるともう、混乱しかないですよ。

だから「そういう時もあるからおぼえよう」と言う人もいます。

 

そりゃそうなんだろうけど、それじゃいざという時、悩むじゃん・・・

こうやって日本人は、

失敗を恐れて英語が話せなくなります。

まさに、ぴえんですよ。

 

be動詞の「後」を理解すれば怖くない

でも実はこれ、

「on my way」がどういう意味かを理解すると解決します

暗記する必要もありません

 

「on my way」のイメージはこんな感じです。

「I'm on my way」とは、

「my way(自分の道)」に
「on(上に)」している状態を表しているんですね。

(なお、目的地を示す「to Final Selection」を後ろにつけることも可能です)

 

だから、出発するときに鱗滝さんに

「my way(進むべき自分の道)」に乗ったよ、

というその瞬間の状態だから「いってきます」になったし、

 

たとえば最終選別に行く途中で話しかけられるなどして

すでに「my way」にずっと乗っている状態だから「移動中」

という意味にもなるのです。

 

前者の例が、たまたま

日本語で「行ってきます」と言うシチュエーションとかぶるから、

「いってきます=I'm on my way」と訳しているだけなのです。

 

そして、この「状態」にこそ、

「be動詞」の本質があるのです。

 

be動詞は「状態・ステータス」を表す時に使う

be動詞の使い方を間違える人は、

このbe動詞の本質、「状態を表す」ということを理解していない人がほとんどです。

 

それも無理ありません。

とりあえずみんなと一緒に進級することが優先され、

理解してない者に時間を費やして教えるカリキュラムになっていませんからね。

(飛び級と複式学級を導入すれば可能)

 

また、「状態」という言葉もピンと来ない人も多いです。

 

なぜなら、

子どもは「状態」に対してたいした意識をせずに暮らしていますからね。

むしろ、理科で状態変化を習ってようやく「状態」という概念が少しずつ入ってきます。

 

なのでお子さんなら、

「状態」というより、ゲームなどで使われる

「ステータス」と言った方がピンと来るかもしれません。

 

なのでぜひ、

ここで「be動詞は状態やステータスを表す動詞」ということを例文と共に学んで頂ければと思います。

 

以下は、be動詞の使われる、主な三つのパターンですから、ぜひともこの機会におぼえていって下さい!

 

be動詞+名詞

自分の名前を説明するときに使う「I am 名前」ですが、

それ以外にもその人がどんなステータスの人間なのか、という時にも使えます。

 

例えばこちらのシーン。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1

鱗滝左近字

I am a trainer.
儂(わし)は育手(そだて)だ

「a trainer(育手の一人)」というのが、鱗滝さんのステータスですね。

なので、職業や性格などもbe動詞を使って表せます。

 

最初の例文にもありました、

「I am Sakonji Urokodaki.」の名前の部分もステータスですよね。

 

もちろん、「ステータス」ですから、

自分以外の「You」でも「He」でも同じく使えますし、

なにも人だけではありません。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.2

鋼鐵塚蛍

This is a Nichirin Sword.
これが日輪刀だ

「日輪刀」など、人以外の「物」の

状態やステータスを表すのにもbe動詞を使えるんですね。

 

be動詞+形容詞

be動詞を使う表現で一番苦戦するのが、

「形容詞」を使った表現です。

 

なにせ、「形容詞」って何?

って人も多いですし、

名詞と違って単語の意味がわからないことも多いからです。

 

しかし、形容詞の単語を理解しさえすれば、表現の幅が広がることは間違いありません。

 

たとえば以前、「鬼滅名言を英語で!」で紹介したこちら、

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.4

嘴平伊之助

I'm hungry!
腹が減るぜ!!

 

伊之助の「腕が鳴るぜ」の言い間違い、「腹が減るぜ」ですが、

「hungry=お腹が空いた、空腹」という形容詞を使っています。

 

英語では形容詞として存在する「hungry」という状態・ステータスを

be動詞を使って表現しているんですね。

 

英会話でよく言わされる

「I'm fine.(私は元気です)」や
「I'm happy.(私は幸せ)」も、

「fine(元気な)」「happy(幸せな)」という形容詞を使った表現ですね。

 

実は、be動詞を使ったおなじみのフレーズはたいがい形容詞です。

 

だから、「be動詞+名詞」は難しくないけど、

「be動詞+形容詞」で苦戦する人が多いので、

形容詞をおぼえておくと、be動詞の表現の幅が大きく広がります!

形容詞の例

beautiful:美しい
〔例文〕Lady Tamayo is beautiful.(珠世様は美人だ)

black:黒い
〔例文〕Tanjiro's Nichirin sword is black.(炭治郎の日輪刀は黒い)

strong:強い
〔例文〕Upper-Lank demons are strong.(上弦の鬼は強い)

scary:怖い
〔例文〕Lord Kibustuji is scary.(鬼舞辻様は怖い)

※これに「very」などの副詞をつけて意味を強調できます

 

また、別途解説しますが

「現在分詞(-ing)」や「過去分詞(-ed)」も、

形容詞として働きますので、それもbe動詞の後に使うことが出来ます。

 

be動詞+前置詞

学校でもっとも説明してもらえないのが、

この、「be動詞+前置詞」です。

 

理由は、「be動詞+名詞」「be動詞+形容詞」ほど

出てくるケースが少ないからだと思いますが、

出てきた時にいいかげんな訳になりがちなのもこれです。

 

ただこれは、

同じく前置詞を使った先ほどの「I'm on my way」と同じく、

前置詞以降の「イメージ」が出来ていれば、理解することができます。

 

ちょっと地味ですがこちらのシーンで使われているのも、代表的なbe動詞+前置詞の使い方です。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.4

炭治郎

He's in the Demon Slayer Corps!
鬼殺隊員だ

「~に所属している」を表すのによく使われる、

「be動詞+in+名詞」ですね。

これも丸暗記させる人がいますが、無意味です。

 

「the Demon Slayer Corps(鬼殺隊)」に

「in(~の中)」している状態・ステータスなので、

be動詞+前置詞(+名詞)で所属を表せるんですね。

 

なお、「鬼殺隊員」の英訳については、今朝公開したこちらで解説していますよ。

こちらもCHECK

「鬼殺隊」を英語で?【難易度★★★★★】

おはようございます! 月曜日ですね。 朝晩冷えてきたので、体調崩さぬようにしていきましょうね。   さて、今日の鬼滅英単語、お題はこちら。 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻(集英社) 「鬼殺隊」 ...

続きを見る

 

be動詞は「記号」のようなもの

このように、

be動詞は「状態・ステータスを表す」

という動詞、というか記号として理解するとわかりやすいです。

 

これを先生によっては「be動詞はイコール記号」として教える人もいます。

 

参考

I am a trainer.
⇒I  a trainer

I'm hungry!
⇒I  hungry

He's in the Demon Slayer Corps!
⇒He  in the Demon Slayer Corps

ただ、この方法だと、

後ろに前置詞が来る場合は頑張って解釈する必要がありますので、その点気をつけて下さいね。

 

それさえ気をつければ、

長文読解に出てくるbe動詞を素早く処理できる「技」にもなります。

 

とにかく大事なのは、

be動詞が「状態・スタータスを表す」役割をしている、ってことです。

 

なので、理想的には、be動詞が出てきた瞬間に、

「あ、後ろのことは状態・ステータスを説明してるんだな

という意識になることですね。

 

英語ネイティブの脳の使い方はそうなっているそうですよ!

 

 

本日のまとめ

be動詞は最初に習って、その後はひたすら

「be動詞+~ing」「be動詞+過去分詞」「助動詞+be」「Beで始まる命令文」などの

応用しか学ぶ機会がないため、

「そもそもbe動詞ってなに?」

って所が抜け落ちたままそれぞれをおぼえている人が多いですよね(私もそうでした)。

 

でも、

「be動詞は状態・ステータスを表す前フリ」

ということを理解しておけば、

 

たとえば「Beで始まる命令文」も

「こういう状態にしておけ」という意味だとわかるように、

実はこういった「be動詞の応用」が存在する理由もわかってきます。

 

このへんはまた、それぞれ応用編で解説していきますのでお楽しみに!

 

本日の教材

-『鬼滅の刃』名シーンでわかる英文法
-, , , , , , ,

© 2024 鬼滅の刃で全集中・英語の呼吸!!