仲秋の名月は昨日でしたが、月齢的には今日が満月です。
(ちなみに『鬼滅の刃』22巻の発売日でもあります)
そんなわけで今日は、胡蝶しのぶさんのあのセリフを取り上げたいと思います。
胡蝶しのぶ
こんばんは
今日は月が綺麗ですね
これを『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
Good evening!
こんばんは
( )the moon pretty tonight?
今日は月が綺麗ですね
※pretty=〔形容詞〕素敵な
選択肢:
①Is ②Isn't ③Are ④Aren't
答え
正解
Good evening!
こんばんは
Isn't the moon pretty tonight?
今日は月が綺麗ですね
②の「Isn't」が正解でした!
解説
「Good evening」は「こんばんは」の意味の定番表現ですね。
ちなみに「evening」は「夕方、晩」を表し、夜は「night」で、「Good night」だと「おやすみ」になりますよ!
主語+動詞
この文の主語は「the moon」、動詞は「is」でした。
「pretty」が形容詞で、「tonight」は副詞でした。
原作では「今日は」なのに、「today」じゃなく「tonight」なのは・・・わかりませんが、おそらく「夜の月」の話をしてるからだと思います。
月に「the」がつく理由
この文では「a moon」でも「moon」でもなく、「the moon」となっていますが、基本的に「太陽」と「月」は冠詞「the」をつけます。
しかし、「木星」や「水星」にはつけません。
なぜなら、「木星(Jupiter)」や「水星(Mercury)」は固有名詞ですが、「太陽」と「月」は固有名詞じゃないからです。
参考
「the」のつかない国
⇒Japan、Canada
「the」のつく国
⇒the United States of America、the United Kingdom(イギリス)
※statesもkingdomも一般名詞なので、その特定版だから「the」がつく
太陽って一つしかないでしょ?
月って一つしかないでしょ?
そんなことはありません。
太陽とは、恒星のことです。
なので、「sun」を辞書で引くと「恒星」という意味が出てきます。
ただ、我々地球人にとっての恒星は「the sun」しかないから、「the」なんですね。
「moon」も同じく「衛星」という意味が出てきます。
英単語
①月、月面、月光、月明かり
〔例文〕the light of the moon(月の光)
②(ある状態の)月
〔例文〕a full moon(満月)
③衛星、人工衛星
〔例文〕the moons of Jupiter(木星の衛星)
②の満月が「full moon」というのは良く聞くと思いますが、③のように、「木星にとっての月=木星の衛星」という風に使われることもあるから、月は「the moon」と、冠詞をつけるんですね。
ちなみに③の例文で「the moons」と複数形になっているのは、木星の衛星が複数個あるからですね。
このことからも「moon」は一つじゃない、だから、我々地球人にとっての「月」は、太陽と同様、特定の「moon」つまり、「the moon」とする必要があるんです。
否定疑問文「Isn't~?」
「isn't」はご存知、否定を表す「is not」の省略形です。
この、「Isn't」や「Aren't」「Don't」「Doesn't」という否定形から始まる疑問文を「否定疑問文」と言います(まんまです!)。
疑問文なのに否定するのもヘンな感じがしますが、難しく考えず、基本は疑問文と同じ文と考えてもらうとわかりやすいです。
比較してみましょう。
比較
Is the moon pretty tonight?(今日は月が綺麗ですか)
Isn't the moon pretty tonight?(今日は月が綺麗ですね)
ニュアンスが違うように感じてしまいますが、本質的に両方とも「月が綺麗かどうか」質問している疑問文ですね。
ただ、聞き方が違う。
「Is~?」の方は、「そうかな?」という感じで、
「Isn't~?」の方は、「じゃない?」感が入っていて、同意を求めていますよね?
この、同意をもとめる疑問文は、否定形にした疑問文、つまり否定疑問文にするのが一般的です。
ちなみにこちらのセリフにも否定疑問文が使われていたので参考までに。
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参考「お前も鬼にならないか?」を英語で?【★★】
『鬼滅の刃』の敵役は「鬼」ですが、その中の幹部クラスにあたる「十二鬼月」の中で、最も人気のある鬼が「猗窩座(あかざ)」ですね。 鬼になった過去も悲しいエピソードで、未読の方はぜひとも読ん ...
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否定疑問文は難しい?
なお、否定疑問文でつまずくのは、「返答の日本語訳」ですが、それは否定疑問文を「~じゃないの?」と訳すからですね。
参考
Isn't the moon pretty tonight?(今日は月が綺麗ではないのですか?)
→Yes, it is.(いいえ、綺麗です)
→No, it isn't.(はい、綺麗ではないです)
だから「Yes」なのに訳が「いいえ」になったりして混乱します。
これはもう、教え方が悪いです。
日本語的に「Is」の否定「Isn't」だから、「ですか?」を「ではないのですか?」に変えるというややこしい作業をするからこんなことになるのです。
もっと簡単に「Is」を「Isn't」にして、ちょっと自信なさげに聞いているだけ(ネガティブになっているだけ)と考えるとわかりやすいです。
なぜなら、否定疑問文は英語で「negative question(ネガティブクエスチョン)」と言いますからね!
否定疑問文は、日本語訳など気にせず、聞いている内容が「月が綺麗かどうか」ということなので、それに対して「Yes」「No」と回答すればよいのです。
参考
Isn't the moon pretty tonight?(今日は月が綺麗ですよね?)
→Yes, it is.(はい、綺麗です)
→No, it isn't.(いいえ、綺麗ではないです)
もっとも、このシーンでは、胡蝶さんが人間に話しかけるように「月が綺麗ですね」と挨拶をしたけれども、相手は鬼(しかも性格悪い)でしたので、「Yes」も「No」もありませんでしたが!
今日のまとめ
月は「the moon」で、同意を求める疑問文は否定疑問文を使う、ということでしたね。
今日の言葉
Good evening!
こんばんは
Isn't the moon pretty tonight?
今日は月が綺麗ですね