こんばんは!
今日も、『鬼滅の刃』原作23巻の発売を記念した、
全国紙5紙の新聞全面広告がネット公開されているのにタイアップした企画、第2弾です。
(第1弾)
今日の元ネタはこちら。
なぜか「お館様➡善逸」と並んでいるので、善逸から。
全集中・英語の呼吸で!
イノシシの頭をかぶった謎の男(伊之助)にフルボッコにされながらも、炭治郎が「命より大切」といっていた箱(in禰豆子)を守っているシーンでの善逸のモノローグ、
「俺は自分が信じたいと思う人をいつも信じた」ですね。
この言葉だけ見るとカッコいいですが、その前のセリフに
「でも俺は人によく騙(だま)された」
とあるように、女に騙され続けてきた過去を思い出すシーンなので、カッコよくもなんともないのですが、
その後で、
善逸が炭治郎を信じることは間違いなんかじゃない、という善逸らしい「芯の部分での善人感」が出ています。
ではこのシーンが、
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
But people can deceive me.
でも俺は人によく騙された
※deceive=騙す、あざむく、惑わす
I've( )trusted people that I want to trust.
俺は自分が信じたいと思う人をいつも信じた
選択肢
①always
②usually
③often
④sometimes
いずれも「頻度(ひんど)」を表す副詞ですが、善逸の言う「いつも」はどれになるでしょう?
という問題ですね。
目次
答え
正解
でも俺は人によく騙された
I've always trusted people that I want to trust.
俺は自分が信じたいと思う人をいつも信じた
①の「always」が正解でした!
解説
2文なのでわけて見ていきます!
But people can deceive me.
でも俺は人によく騙された
接続詞「but=でも」から始まるシンプルな文で、
主語が「people」
助動詞が「can」
動詞が「deceive」
目的語が「I」の目的格「me」でした。
この中で、
動詞の「deceive」はあまり日常会話中心の教科書的な内容では使わないですが、伝記とか社会問題系の英文には出る可能性がありますね。
英単語
[動詞]だます、あざむく、まどわす
善逸にピッタリの単語です笑。
「Trick or Treat」の「trick=だます、いたずら」とは違い、
意図して騙したと言うよりは、真実を隠して騙すという時に使う動詞です。
「~された」なのに「受け身」じゃない?
ただ「騙された」ということですから、
日本語の感覚だと「~された=受け身形(受動態)」にするのが正しいような感じがしますよね?
But I was often deceived by people.
でも俺は人によく騙された。
みたいな。
でもそうじゃない訳し方をされていましたね。
我妻善逸
But people can deceive me.
でも俺は人によく騙された
俺が騙されるんじゃなく、人々が騙すという感じです。
これには理由があって、
そもそも、英語で「受け身」になるのは特殊な時で、
日本語で「~された」という頻度ほどは使わないんですね。
理由は実にカンタンで、
英語は主語が必ずあるからです。
受け身表現を使うと、された人が主語になり「被害者感」が出るからですね。
今回の文は、この前のコマで善逸が、
いろんな生き物からする、いろんな音が聞こえる話、炭治郎からする「優しい音」がする話をしていたわけです。
「相手が何を考えているかもわかった」
にもかかわらず、
「よく騙された」
のは、被害者意識なんでしょうか?
ということなんですね。
違いますよね、自分は心が読めるはずなのに、
他の人が「できちゃうんだ」というニュアンスがあるので、受け身にはせず「can」を使って訳されたわけですね。
そしてその理由が、次のセリフにつながっていくんですね。
I've always trusted people that I want to trust.
俺は自分が信じたいと思う人をいつも信じた
相手が考えることがわかる善逸が、なぜそれでも騙され続けたか。
それは、
自分がこの人を信じたいと思っている人を信じ続けてきたからですね。
頑固な考え方、一種の信念とも言えます。
(だから被害者意識はないんですよね)
さて本題の英文。
これは、中3で習う重要文法、
「have+過去分詞=現在完了形」の文ですね。
「~していた」
というように、現時点での今までにしてきた話をするときに使う文法です。
「I've」に「~ed」なので、ピンと来た方も多かったかもしれませんね。
なお、「trust」ですが、
英単語
[動詞]信用する、信頼する、正しいと思う、当てにする
[名詞]信頼、信用、委託、信託、責務、企業連合
「信じたい」「信じる」という時に使う一般的な動詞で、
この文には「trusted」という過去分詞と、「trust」という原形で2回登場していましたね。
現在完了形なら
「過去分詞」の「trusted」、
want toの後は不定詞なので
「原形」の「trust」
というわけです。
頻度の副詞「always」
現在完了形の途中に入っている「always」は、
「trust」の意味を強調する(修飾する)副詞ですね。
副詞は助動詞の後に入れるのが基本なので、haveとtrustedの間に入っているわけですね。
なお、問題の選択肢にもあった、
「always」「usually」「often」「sometimes」は
いずれも頻度を表す副詞なので、同じ場所に置くことが出来、それぞれの意味は「どれくらいの頻度か」という風にとらえるのが最近の傾向です。
頻度の副詞
頻度の副詞は、助動詞の後、be動詞の後、一般動詞の前に置かれることが多い*
(*強調する物によって異なる)
always=いつも、常に(100%)
〔例文〕Tanjiro always trusts people.(炭治郎は常に信じる)
usually=たいてい、普段は(80~90%台)
〔例文〕Giyu usually doesn't talk.(義勇はたいてい喋らない)
often=よく、たびたび(60~70%台)
〔例文〕Sanemi often eats Ohagi.(実弥はよくおはぎを食べている)
※自宅じゃなきゃ毎回じゃないと思うので…
sometimes=時々(40~50%台)
〔例文〕Inosuke is kind sometimes.(伊之助は時々優しい)
※頻度のパーセントはイメージ
善逸は、自分の「スタンス」として、
「信じたいと思う人をいつも信じる」というわけですから、「always」が正解ですね。
「that~」
その後に来る「that」以下は、みんなも嫌いな、
「that節」と「関係代名詞」どっちやねん問題ですね。
上弦の鬼ぐらい強敵ですよね。
しかしまずはとりあえず、
そんな難しいことを考えずに、
英語の呼吸・拾壱ノ型「スラッシュリーディング」を使って、「that」の前後で文をブッた斬って、別々に訳してみるのがオススメです。
そうすると、
スラッシュリーディング
I've always trusted people / that I want to trust.
I've always trusted people=俺は人をいつも信じていた
that I want to trust.=俺が信じたいと思う
・・・というように訳せますね。
I want to+動詞の原形は「~したい」という定番表現ですが、
「want」には「~したいと思う」という意味も含まれます。
だってそもそも、
「want=ほしい」ですからね。
「思う」と入っていても、イコール「think」とは限らないわけです。
ですから、
I want to trust=俺は信じたいと思う
となるわけですが、
これだけ言われても、普通は「何を?」「誰を?」となりますよね?
原文を知っている我々は当然、
「人」を信じたいと言うことはわかりますから、
それが前の文の
「people=人(々)」と同じだとわかりますね。
つまり、この「that」以降は、
前の「people」の説明のための、「that」なんですね。
(=「people」が先行詞の、関係代名詞)
そういうことがわかれば、
I've always trusted people〈that I want to trust〉.
俺は〈俺が信じたいと思う〉人をいつも信じていた
という風に訳せるようになりますね。
「信じたいと思う」だから「think」とか考えるわけじゃなく、
まずは、
主語(俺は)+述語動詞(信じた)の文を「現在完了形」の形で考えて、
そこに、
「頻度の副詞always」
「関係代名詞that」
「want+to不定詞」
を使って細かい修飾をしていったわけですね。
今日のまとめ
文法も単語もメチャクチャ難しいという文ではありませんでしたが、「英語らしい」表現の仕方をしていた文だったので、その辺は難しかったと思います。
日本語の常識では考えず、英語の常識(英語の呼吸)で考えることが大事ですね!
今日の言葉
But people can deceive me.
でも俺は人によく騙された
I've always trusted people that I want to trust.
俺は自分が信じたいと思う人をいつも信じた