いよいよ、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編が近づいてきましたね!
しかも、先着で煉獄さんの初任務の話を描いた『煉獄零巻』がもらえるとか!!
煉獄さんの過去の話は結構少ないので、超貴重!しかも原作者、吾峠呼世晴先生の書き下ろしとな!!
ということで今回は、煉獄さんの人間性がよく表れたセリフから!
煉獄杏寿郎
老いることも死ぬことも
人間という儚(はかな)い生き物の美しさだ
アニメ派の人にはネタバレになるので詳細は明かせませんが、煉獄さんが愛される柱であるのがよくわかるシーンです。
これを『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
( )old and dying...
is what gives meaning and beauty to the fleeting span of a human life.
老いることも死ぬことも
人間という儚い生き物の美しさだ
ヒント:①Getting ②Growing ③Changing ④Being
※fleeting=儚い、つかのまの
超長い文章になってしまったので、問題はシンプルに、「old」にかかるのがどれか?です。
答え
正解
Growing old and dying...
is what gives meaning and beauty to the fleeting span of a human life.
老いることも死ぬことも
人間という儚い生き物の美しさだ
①の「Getting」を選んだ人も多かったかもしれませんが、②の「Growing」が正解でした!
今回の問題は難しかったですね!
解説
「get old」と「grow old」の違い
通常、「歳を取る」という言葉は、「get old」で習います。
そして「get」には「なる」という意味もあるので、「get old=なる・トシに⇒歳を取る」というのが理解しやすいのもあります。
日本語だけ見ると間違いではありません。
しかし、ここで煉獄さんが言っているのは、「歳を取ることも死ぬことも美しさ」ということを言っているんですね。
通常、歳をとることはネガティブにとらえられることが多いですし、このシーンでも、煉獄さんがそういった言葉への反論として言ったワケです。
ということは、煉獄さんにとって「歳をとる」ことは、決してネガティブなことじゃないんですよね。
そこで英語のポイント。
「get old」と「grow old」の違いですね。
我々日本人は学校で、「grow=育つ、発展する」と習いますね。
「grow old=育つ・トシ」ということで、子どもが成長するときには使えそうですが、歳をとって死んでいく時の言葉として適切ではないように思えるかもしれません。
しかし、英語で「grow」は、年月を重ねて成長する、精神的に成長する、というような意味合いも含むのです。
かたや「get」には、「そういう状態になる」という意味があるので、「get old=なる・トシに⇒老ける」的な意味になるのです。
「get old」と「grow old」の違い
get old=歳をとる(歳をとった状態になる⇒老ける)
grow old=歳をとる(良い意味で歳を重ねていく)
このような違いから、「Get」ではなく「Grow」が採用されたんですね!
この辺の「感覚」は、単語の日本語訳だけ見ていては身につきませんので、ネイティブな表現に慣れるのが一番です。
主語+動詞
この文の主語は「Growing old and dying」、動詞は「is」ですね。
つまり、「Growing」も「dying」も、動詞を名詞化した「動名詞」ということですね。中2で習うアレです。
ポイント
動名詞:動詞の語尾に「-ing」を付けることで動詞を名詞化した物。「~こと」と訳されることが多い
なので、「Growing old=歳をとること」と「dying=死ぬこと」というような意味合いになり、
Growing old and dying is
で、「歳をとることも死ぬことも~だ」という文になっています。
what以下
「what」以下は節ですね。
すぐ後ろに動詞「gives」が来ているので、主語がありませんが、それは、前の主語「Growing old and dying」と同じだから省略しているんですね。
それを踏まえて、長い文にはいつもの、英語の呼吸・拾壱ノ型「スラッシュリーディング」で斬っていきましょう。
スラッシュリーディング
Growing old and dying is / what gives meaning and beauty / to the fleeting span / of a human life.
Growing old and dying is (歳をとることも死ぬことも~だ)
what gives meaning and beauty(意味と美しさを与える)
to the fleeting span(この儚い期間に)
of a human life.(人間の人生の)
=歳をとることも死ぬことも、人間の人生の儚い間に意味と美しさを与える
⇒老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ
「give meaning to ○○」で、「○○に意味を与える」というような意味になります。
しかし、「意味を与える」とは、日本語ではあまりない表現ですね。
日本語では「意味がある」と言い方が一般的ですが、この辺、英語圏との文化の違いが表れています。
英語圏はキリスト教文化ですから、何かにつけて「神」という存在が出てきます。
それを象徴するのが「give(与える)」や「meaning(意味)」という、日本語の原作にはない言葉です。
これは無宗派の多い日本人の感覚ではなかなか理解しがたい方もおられるかもしれませんが、キリスト教の影響が強い国の場合、「神」の存在があることが大前提だったりします。
この「give meaning」という表現も、「○○の意味」は神から与えられる物という考え方から来ているんですね。
ここでは、「老いることも死ぬことも」神から与えられた人間の本質で運命で、だからこそ美しいのだ、という感じのとらえ方ですよね。
もちろん原作には、そこまで「神」の存在があるわけではありませんが、この、煉獄さんのケースは、「与えられた者」として生まれたことを心に刻んで来た描写があるシーンがありますので、ここで神的な表現を使うのは、おかしいことではないのでしょうね。
今日のまとめ
長い文章だったので難しく感じたかもしれませんが、文法的には比較的シンプルな文でした。
ただ、日本語と英語の「違い」は、ネイティブな文じゃないとなかなか気づけないことなので、そういう所を掘り下げると、より理解が増しますよ。
今日の言葉
Growing old and dying...
is what gives meaning and beauty to the fleeting span of a human life.
老いることも死ぬことも
人間という儚い生き物の美しさだ