おはようございます!
今日も引き続き、『鬼滅の刃』原作23巻の発売を記念した、
全国紙5紙の新聞全面広告がネット公開されているのに勝手にタイアップした企画、第5弾です。
第5弾は、冨岡さんですね。
この、「もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない」を、
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
ちなみに使用どころは、最終決戦の無限城内ですが、ネタバレになるのでこの辺で!
問題
託された物を後に繋(つな)ぐ
※entrust=託す、任せる、預ける
( )I let family and friends die before my eyes.
もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない
※before my eyes=目の前で
並び替え
(never / will / again)
今回は並び替えです!!
目次
答え
正解
託された物を後に繋(つな)ぐ
Never again will I let family and friends die before my eyes.
もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない
「Never again will」が正解でした!
「I」の前に「will」がある不思議な文でしたが、その理由は解説に!
解説
まずは、二文になっていますので先の文から解説していきます。
I must pass on what was entrusted to me.
託された物を後に繋(つな)ぐ
ちょっと複雑に見える文なので、真っ先にスラッシュリーディングして文の構造を把握します。
スラッシュリーディング
I must pass on / what was entrusted to me.
I must pass on=後に繋がなければならない
what was entrusted to me=俺に託されたものを
前半部分「I must pass on」から。
「must」は「~しなければならない」という意味ですが、
必ずしも日本語になっていなくても、
その文の「ニュアンス(意味合い)」を決めるために必要な助動詞です。
特に「must」はもっとも強い義務感を追加するので、このシーンには必須です。
その後の「pass」は「パスする、渡す」という動詞ですから、
「繋ぐ」というには軽いイメージがあるかもしれません。
実は「pass」は
後ろに繋がる前置詞によって若干意味合いが変わり、
「pass to [名詞]=[名詞]に渡す、パスする」
「pass on [名詞]=[名詞]に渡す、託す」
という意味になります。
「on」が何かの上に乗っかっているという意味ですので、
既定路線のある「pass」ということで、
後に繋ぐ、ということを表現しているわけですね。
鬼殺隊士らしい言葉です。
後半部分の
「what was entrusted to me」は、
「I must pass on=俺は後に繋がないといけない」だけだと、
「何を?」になるので、その、「何を」に当たる部分、つまり目的語ですね。
前置詞「on」の後だから名詞節、
つまり、「what」から始まる関係代名詞節です。
「what」が「託された物」を表す関係代名詞で、
その後の「was entrusted to me」が「俺に託された」という受動態で続いて、
「俺に託された物」を表しているわけですね。
(関係代名詞についてはまた後日)
Never again will I let family and friends die before my eyes.
もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない
それでは本題。
「もう二度と~」の文は、「Never again」から始まっていました。
最初に「Never」や「Not」が来る文は、実はちょっと特殊な使い方をするその典型です。
何が特殊かというと、
文に使われている「語順」を見てほしいんですが、
まずはこの文の「主語」と「動詞」を整理しましょう。
主語は「I」、
動詞は「will let」ですね。
「let」は「~させる」という動詞です。
英単語
〔動詞〕(したいように)させる、(~するのを)許す
あの、煉獄さんも使っていました。
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参考「俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!!」を英語で?【★★★★】
劇場公開中の『鬼滅の刃~無限列車編』が次々記録を打ち立てていますが、 この作品の魅力は、最近忘れられがちな、 「人のために尽くす」 ということをストレートに描いているところですよね。 だ ...
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しかし、
主語が「I」、動詞が「will let」なのに、
実際の文は、
Never again will I let family and friends die before my eyes.
というように、
「I will let」ではなく、
「will I let」になっていました。
まるで疑問文のような語順ですね。
なぜこんなことが起こるのか?
それは、文頭に「Never again」という副詞(のかたまり)が来ているからです。
語順を変える「Never」
「never」は、
「not」と同じ仲間である「否定を表す副詞」ですが、
「一度も~ない」という強い否定を表します。
『鬼滅の刃』の隊士は、みな必死に生きていますので、
この「never」を使う表現をよく使います。
ちなみに「never again」で、
「再びしない=二度としない」という意味になります。
副詞+副詞の「副詞句」です。
否定を表す副詞は動詞にかかるので、
通常の語順でいけば、
I have never seen it.=私は一度も見たことがない
のように、助動詞と動詞の間に置かれます。
となると、今回の文も、
I will never again let family and friends die before my eyes.
とするのが正解に思えますよね。
いや、正解なんですよ?
正解なんですが、
今回のシーンのように、より「never again=二度と~しない」という重い表現を使いたい場合、
英語は前に重要な言葉を持ってくると言う性質があるので、
「I will never again let」
ではなく、
「Never again will I let」
という「主語」と「副詞句」をまるっと入れ替えた語順にしちゃったわけですね。
言いたいのが「I will」じゃなくて、「never again」の方だからです。
(原作が「もう二度と」で始まり、フォントも大きくなっているため)
なお、
この文法を「倒置法」と呼びますが、
日本語の「倒置法」は文末にするのに対して、英語は「文頭」に持ってくるあたり、
英語は重要なこと(結論)を先に言う言語、というのがよく表れていますね。
(実は英語の疑問文も倒置法の一つ。だから語順が変わる)
ちなみにこれは、
「Never」だけでなく、
副詞「Not」でも使えます。
もちろん、「never」よりは意味が弱くなりますが。
使役動詞「let」
この文のメインの動詞「let」ですが、
「許す」という以外に、
「~させる」という意味があり、
この「~させる」に後には動詞が来ます。
というとなんだか難しく感じるかもしれませんが、
「~させる」
と来て、「~」に名詞とか形容詞が来る方が不自然です。
特によく使われる形がこれ、
使役動詞「let」
let+人・物+動詞の原形=人・物を動詞させる
〔例文〕
Let me tell you.=言わせてもらう
I won't let you down.=落胆させないから
Let's go.=(I) let us go=私たちに行くことをさせて=さあ行こう
なお、動詞の原形なのは「原形不定詞(toのない不定詞)」だからです。
今回は「let family and friend die」で、
「家族や仲間(family and friend)」が人の部分に当てはまっていたわけですね。
錆兎が「friend」なのかというツッコミもありそうですが、
日本語の「友だち」と英語の「friend」はちょっと範囲が違いますからね!
今日のまとめ
今回は大学受験レベルの内容を含んだ難しい文法でしたが、使っている単語そのものはそこまで難しい物ではありませんでした。
つまり、英語には「英単語」と「英文法」の両方を理解しないと、正しく読み解けない文もあるってことですね。
英語の倒置法の例
Never~、Not~⇒否定の強調
Never did I hit my children.
=子どもを殴ったことは一度たりともない
Do~?、Can~?⇒助動詞の強調⇒疑問文
Can you speask English?
=英語を話せるの?
今日の言葉
I must pass on what was entrusted to me.
託された物を後に繋ぐ
Never again will I let family and friends die before my eyes.
もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない