本日、9月15日は
蛇柱・伊黒小芭内の誕生日。
ということで、最終巻23巻の伊黒さん(&甘露寺さん)のあのシーンの英語版を解説していきます!
超多忙だったので久しぶりの更新になりますが!!
(以下、ネタバレあり)
本日とりあげる名シーンはコチラ!
最終23巻の「おばみつ」の名シーンといえばもう、これでしょう。
このシーンを
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?
ですが、今回は問題形式ではなく、一文ごとに文法解説していきますね!
例文
伊黒さん伊黒さんお願い
If we're reborn...
生まれ変われたら
and we come back as humans...
また人間に生まれ変われたら
can I be your bride?
私のことお嫁さんにしてくれる?
Yes, of course...
勿論だ
if you will agree to have me.
君が俺でいいと言ってくれるなら
And this time I will make you happy...
絶対に君を幸せにする
and protect you so you don't die.
今度こそ死なせない 必ず守る
解説① 甘露寺さんのセリフ
If we're reborn
生まれ変われたら
仮定の話をする時に使う「if」から始める文ですね。
主語は、私(甘露寺さん)と伊黒さんなので「we」で、
「we are」を省略した「we're」でしたね。
「reborn」は「生まれ変わる」という形容詞で、
形容詞なので主語「we」の後に来る動詞はbe動詞の「are」じゃないといけませんね。
なお、
「もし生まれ変われたら」というのは、
仮定の話でありながらも、「未来」の話でもあります。
だから「will」を使いそうな感じもするのですが、
「if」を使った仮定の未来の話は基本的に「will」を使いません。
必ずやって来るわけではないですからね。
逆に「if」文の中に「will」が入る時は、
If I will beat Muzan someday, we will go back home together.
いつの日か無惨を倒せたら、一緒に家に帰ろう
のように、「未来への意志」がある時ですね。
and we come back as humans...
また人間に生まれ変われたら
この文は仮定の「if」を並列的に受けた文で、これも仮定の話ですね。
主語は同じく「we」で、
今度は一般動詞「come」に副詞「back」をつなげて
「come back=戻ってくる」という意味になり、
その後の「as」という前置詞には「~として」という意味があるので、
「as human=人間として」
になるので、
we come back as humans
人間として生まれ変われたら
という意味になるんですね。
can I be your bride?
私のことお嫁さんにしてくれる?
「bride」は「花嫁」「新婦」を意味する名詞で、
「your bride=伊黒さんのお嫁さん」という意味になります。
「can be ○○」というのは
「○○になる」という会話表現で、たとえば
I can be your hero.
=俺は君のヒーロになれる
という風に使います。
今回はこれの疑問文ですね。
「~してくれる?=Can you~?」では?
とはいえ、通常
「Can I ~?」
の文は学校では
Can I~?
=(私が)~してもいいですか?
という意味と教えられるため
原作の「お嫁さんにしてくれる?」なら、
Can you ~?
=(あなたが)~してくれませんか?
の方がなんとなくピッタリな感じがしますね。日本語訳だけ見ると。
でも、
今回、甘露寺さんのセリフは、
あくまでも自分から「お願い」しているだけあって、
主体は「I」であって「you(伊黒さん)」じゃないので
Can I be your bride?
=私があなたの花嫁になってもいいですか?
という意味での、
「私のことお嫁さんにしてくれる?」
という、
あくまでも甘露寺さん側からの「提案」「お願い」だったからこそ、
「Can I ~?」だったと読み解くことが出来るワケですね。
自分なんか愛されないと思っている甘露寺さんらしさを残す表現でした。
解説② 伊黒さんのセリフ
Yes, of course... if you will agree to have me.
勿論(もちろん)だ 君が俺でいいと言ってくれるなら
「of course=もちろん」ですね。
続きの「if」は仮定の文ですが、
こちらは甘露寺さんのセリフと違って「will」が入っていますね。
先ほど解説したように、
「意志」が絡む未来の場合は「if 主語 will~」という文になるので、
今回は
If you will agree to have me.
=君が俺でいいと言ってくれるなら
という感じで、
甘露寺さんの未来意志を前提とした仮定の文なので、
「will」を使った、というわけです。
「agree with」じゃなく「agree to」
「if」と「will」を使う時、使わない時のことはわかっていただけたと思いますが、
それではその後に続く文はどういう意味なのでしょう?
「agree」は「同意する」という意味の一般動詞です。
通常は
「agree with~=~に同意する」という形で使う事が多いですが、
その場合は前置詞の後なので「~」は通常名詞が入ります。
今回の例文は「agree to~」になっていましたが、
この場合は後ろに動詞が入ります。「to不定詞」ですね。
「agree to 動詞=~することに同意する」という意味になります(不定詞の名詞的用法)。
「have me」?
そんな、
「agree to」の後に続く動詞は、まさかの「have」でしたね。
ごぞんじ、「持っている」「ある」などの意味がある言葉で、
普通に直訳で考えると、
agree to have me
=私を持っていることに同意する
みたいになっちゃいますね。
わかったようなわからんような感じですね。
実は、
この「have」を使った表現は、
たとえば、
「If you'll have me.」
であれば、
「あなたが私を持てば」
ではなく、
「私で良ければ」
という意味の、恋愛などで使われる表現だそうです。
(情報元:英語勉強日記さま)
今回の、伊黒さんのセリフ、
「君が俺でいいと言ってくれるなら」
は、間に「agree to」を入れて
If you will agree to have me.
=君が俺でいいと同意してくれるなら
(原作)君が俺でいいと言ってくれるなら
という訳だった、というわけです。
日本語的に考えると、
「have me=俺を受け入れる」
という感じですかね。
And this time I will make you happy and protect you so you don't die.
絶対に君を幸せにする 今度こそ死なせない 必ず守る
長い文なのと、原作と語順が違うのでいったん整理しますと、
And this time
今度こそ
I will make you happy
君を幸せにする
and (I will) protect you
必ず守る
so you don't die
死なせない
という文になりますね。
それぞれはそう難しくない単語で、
「make you happy=君を幸せにする」なんてヒットソングにもありましたし、
「protect you」は「守る」の一般的な英語表現で、
鬼滅英語版でもちょこちょこ登場します。
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その後の、
so you don't die
死なせない
についても、
「so=だから」という接続詞で、
その後が「俺が死なせない=I won't let you die」という表現ではなく
「you don't die」となっているのは、
I will protect you=俺が守る
so=だから
you don't die=君は死なない
とすることで、
「死なせない 必ず守る」という意味の英訳になっているわけです。
「this time=今回は」じゃない?
そんな中で気になるのは最初の「this time」。
学校では、
「this time=今回は」という意味で習いますが、
この文はあくまでも生まれ変わった仮定の話なので、
なんかちょっと違和感を感じます。
だって、「今回は」とすると、
甘露寺さんが死んじゃうわけで、
「今回は」守れなかったわけじゃん、となっちゃう。
これは別に英語版の誤訳ではなく、
実は「this time」は、
現在・過去・未来どの時制でも使える表現で、
あくまでもその時制での「this time」を指すことが出来るんですね。
今回は、
生まれ変わって出逢えたらという仮定の世界での
「this time=その時」
を指しているから、問題ない、というわけでした。
最近、「鬼滅飽きた」という人をよく見かけますが、
こうやって違う視点でふり返りながら、キャラクターたちの想いに触れたりしてもいいのでは?と思います。