前回の「俺が来るまでよく堪えた」の続きのフレーズ、「後は任せろ」を英語で?

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第5巻(集英社)
冨岡義勇
後は任せろ
これを『鬼滅の刃』英語版でどう翻訳されのか?
問題
後は任せろ
ヒント:※前置詞が入るよ!
答え
正解
あとは任せろ
前置詞「to」が正解でした!
解説
前置詞「to」の理由もさることながら、「leave」や「rest」が一般的な意味とは若干違う意味で使われている、ちょっと訳が難しい文です。
主語・動詞部(文体)
この文は「leave」という一般動詞の原形から始まっています。
こういった動詞の原形から始まる文を「命令文(質問文)」と言いますね。
命令文では「主語」となる名詞が「You」以外ありえないので、主語である「You」を省略して、動詞から始めます。
わかりきっていることを使う必要はない、というのは日本語でもよくありますが、英語で主語を省略することは日本語ほど多くないので、(会話的な口語表現では主語を省略することがありますが)特に学校英語では動詞が最初に来たら命令文(質問文)だと思ってもらえば問題ないでしょう。
ポイント
動詞の原形が先頭に来たら、指示・命令・依頼・質問をする「命令文(質問文)」
〔例①〕Be silent!(黙れ)※be動詞の原形
〔例②〕Go ahead.(お先にどうぞ)
「leave the rest」
文体は命令文で理解できたと思います。
では肝心の「leave」という動詞はどういう意味かというと、一般的には「去る、離れる、出る、置いていく」など意味がたくさんある動詞です。
英単語
去る、離れる、出る、置いていく
「rest」は一般的には「休息、休養」という名詞なんですが、「the rest」のように「the」をつけた時は「残り」「続き」という意味になることが多いです。
英単語
①休息、休養、休暇
②(theをつけて)残り、続き
この二つの語を並べると、
メモ
Leave the rest=置いていけ+残りを⇒後は任せろ
という意味になるんですね。
前置詞「to」
ここまでですでに「後は任せろ」が完結してしまっていますよね?
たしかにこれでも問題ないんですが、英語翻訳版では、より具体的に説明するために「to me」が使われています。
前置詞の「to」は、最近の「イメージで考える英単語」の考えでいけば、「➡」です。
「to me」なら、「➡ me(俺に)」という感じで考える、という方法ですね。
「Leave the rest(後は任せろ)」+「to me」なので、
「後は任せろ➡俺に」という意味になるんですね。
なので、目的を示す「for(~に)」とか、全体の中の一部を示す「of(~の)」とかではダメなんです。
「日本語的に」ではなく、「役割的に」というのがポイント。
あくまでも前に出た文を、「➡ me」と引き受けるイメージなんですね。
だから「to」。
ポイント
前置詞「to」のイメージは「➡」
「to me」が必要な理由
ではなぜ「Leave the rest」でも意味が通じるのに、「to me」が必要かですが、たとえばこれが「to us」になれば「俺たちに」になったりするからですね。
このシーンでは、冨岡さんが一人で目の前の鬼(累)を倒す気ですよね?
だから、「to us」ではなく「to me」とすることで、義勇さんの「俺に任せろ感」というのが伝わる英語表現なんですね。
日本語の感覚で「後は任せろ」と言った場合、その人がやって「くれるんだろうな」と想像します。
でも現実、期待していたけど何もしてくれない、ということがたまにあります。
英語の世界はそういうあいまいなことを嫌い、「誰がやるのか」ハッキリさせる傾向があるので、前置詞を使った「to me(俺に)」を入れているんですね(もちろん、入れないこともありますけどね)。
「leave A to B」
なお、「leave A to B」は、「BにAを任せる」という意味の定番フレーズで、海外ドラマや映画によく出てきますし、大学受験にも出てきます。
Aには「the rest」や「it」、
Bには人が入り、「to you」になることもあったり、「to不定詞」が続くこともあります。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1
錆兎
後は任せるぞ
I leave the rest to you.
こちらは錆兎が真菰に「後は任せるぞ」と言ったシーンですが、こちらは「to you」になる関係で、主語は「I」になるため、省略されていません。
こういった使い方もできますので、状況に合わせて使い分けてくださいね。
ポイント
leave A to B=BにAを任せる
Leave the rest to me.(後は俺に任せろ)
Leave it to me.(それは俺に任せろ)
I leave it to you.(それはお前に任せる)
We'll leave it to you to fight enemies.(敵との戦いはお前に任せた)
・・・・最後の例文がヒドイ笑
今日のまとめ
今回は、義勇さんの「あとは任せろ」の他に、錆兎の「後は任せるぞ」という、相反する二つの表現を学びましたので、この機会に一緒におぼえてしまいましょう!
今日の言葉
Leave the rest to me.
後は任せろ
I leave the rest to you.
後は任せるぞ
定番表現なんで、まるっと暗記してもOKですよ!