今回のお題はこれ!
単行本第1巻、鱗滝さんに課せられた最後の試練(テスト)を炭治郎が乗り越えたときに、鱗滝さんが炭治郎を褒めたたえた時の言葉です。
鱗滝左近次
炭治郎 お前は 凄い子だ……
こちらを英語翻訳版でどう訳されているのか?
問題
Tanjiro... you... are an( )child.
炭治郎 お前は 凄い子だ……
ヒント:①great ②amazing ③super ④wonderful
答え
正解
Tanjiro... you... are an amazing child.
炭治郎 お前は 凄い子だ……
正解は②の「amazing」でした!
解説
今回はbe動詞を使ったとても初歩的な文でしたが、似た意味の形容詞をどうやって選ぶのか?という所がポイントです。
主語・動詞
最初の「Tanjiro(炭治郎)」は呼びかけなので、この文の主語は「you」です。
動詞はbe動詞の「are」で、この文は「You are+形容詞」つまり、「You=形容詞」という形の文で、文型は「弐ノ型(第2文型)」です。
「You are」で「あなたは~です」という文ですが、鱗滝さんのような老人が年がだいぶ離れた弟子に言っているので、日本語に訳すときは「お前は~だ」という感じで訳すのが自然でしょう。
英語は日本語ほど相手に応じて言い方を変えることはしませんので、教科書に載っているような「あなたは」を「君」とか「お前」とか読みかえても問題なしです。
形容詞の選び方
今回の問題は、4つの形容詞から選んで頂く形にしていますが、
実はこれらの形容詞は、いずれも「凄い」「素晴らしい」ということを表している語です。
参考
great=偉大な、凄い、素晴らしい、グレイト
amazing=素晴らしい、驚くべき、アメイジング
super=素晴らしい、凄い、スーパー
wonderful=素晴らしい、驚異的な、ワンダフル
だから、「凄い子」に合うものだけを考えて選ぶのは至難の業です。
しかしそれでも、選択肢を絞り込めるポイントがあります。
問題文をもう一度見てみましょう。
参考
炭治郎 お前は 凄い子だ……
Tanjiro... you... are an( )child.
①great ②amazing ③super ④wonderful
ポイントは( )の前の「an」です。
これは、「a」と同じ、名詞の前につける「冠詞」の一つですね。
日本語訳としては特に訳せない言葉ですが、「全体の中の一つ」を表す日本語にはない表現です。
不定冠詞「a」「an」の使い方
通常、この「a」とか「an」は、「名詞」の前につける、というルールがあります。
ですから、普通でしたら「a child」という形で使うわけですね。
しかし、今回は「形容詞」の前についています。
これは、あくまでもこの問題となった形容詞が、後ろの名詞を修飾(意味を付け足し)しているだけで、名詞とひとかたまりのものになっていると考えてよいからです(これを「名詞句」と言います)。
だから、「a child」の所が、「an( )child」という、新たなひとかたまり(名詞句)になったわけですね。
ここで「a」が「an」に変わったことに気づいたと思います。
そもそも、「an」を使う時はというと、後ろに来るはじめの発音が「a」「i」「u」「e」「o」、つまり「母音の発音」になる時です。
ポイント
「an」を使う時のルール
直後に来る語の最初の発音が「a, i, u, e, oの母音」で、スペルではない
○の例:an apple、an orange、an hour(hを発音しない)
×の例:a university(ユニバーシティー、大学)、a unicorn(ユニコーン)
答えを導き出す
つまり、この問題の「an( )child」の( )内に入る形容詞の最初が、「母音」の発音になるものを探せばいいんですね。
選択肢は、
①great ②amazing ③super ④wonderful
「凄い」「素晴らしい」という意味がある以上の4つでしたが、
①、③、④はいずれも、
「a great child」
「a super child」
「a wonderful child」
という形になるので不正解。
訳が「凄い子」「素晴らしい子」になっても、英文法のルール上ダメなのです。
残るは、
②amazing
ですから、「an amazing child」で、「驚くべき子=凄い子」と表現したわけですね。
英単語
〔形容詞〕(予想を裏切るほど)素晴らしい、驚くほどよい
鱗滝さんの「気持ち」から選ぶ方法も
今回は「an」というヒントをもとに、「amazing」だけを選べるようになっていましたが、逆に、日本語から英語にする場合だったらどの形容詞を選択したらよいのか、迷いますよね?
でも、鬼滅翻訳版が「amazing」で翻訳されていたのにはちゃんとした理由があるんです。
その前のストーリーを追って見るとわかります。
鱗滝左近次
お前にあの岩は斬れないと思っていたのに…
ここですね。
鱗滝さんは、(後でわかることですが)今まででの弟子の中で一番大きな岩を斬れという、達成不可能な課題を炭治郎に与えていたんですね。
しかし、それを炭治郎は(錆兎と真菰の力を借りて)やってのけた。
だから鱗滝さんが、「炭治郎 お前は 凄い子だ」としみじみしながら言っていたんですね。
その原作の、予想を大きく裏切られた雰囲気を再現するために、「(予想を裏切るほどの)素晴らしい、驚くべき」という意味の「amazing」を使って、「凄い子」を英訳したんですね。
これが、「お前は凄い子だ」を機械翻訳にかけると、必ずと言っていいほど、「凄い=great」で変換し、「You are a great child/kid/girl/boy.」と訳されます。
でもそれじゃ、原作の、鱗滝さんの「気持ち」が伝わらないんです。
今日のまとめ
原作の雰囲気を守るため、文字通り訳すのではなく、「気持ち」に基づいた訳が大事って事ですね。
今日の言葉
Tanjiro... you... are an amazing child.
(炭治郎 お前は 凄い子だ……)