『鬼滅の刃』の魅力の一つに、主人公・竈門炭治郎の真っ正直な性格がありますね。
一歩間違えれば、道徳の教科書かというような炭治郎のキャラクターですが、逆にそれが「天然?」みたいな感じを醸し出す演出をしているので、道徳の教科書を読んでいるような感覚にならないわけです。
さて今回は、そんな炭治郎らしい、正直で、ズレた名シーンから。
竈門炭治郎
俺は鬼殺隊 階級・癸(みずのと)!! 竈門炭治郎だ
今からお前を斬る
こちらは「かまぼこ隊」が初めて会する、鼓の鬼の屋敷で、不意打ちをすればいいのに、平安時代の武士のように盛大に名乗り、モノローグで「不意打ちができない男」とツッコミ入っていましたね。
この、炭治郎の「名乗り」つまり自己紹介を、英語でどう訳すのか?という問題です。
問題
and I'm here to kill you!
俺は鬼殺隊 階級・癸!! 竈門炭治郎だ
今からお前を斬る
※rank=階級、地位、ランク
※Demon Slayer Corps=鬼殺隊
今回は中1の基礎的な内容なのでヒントはなしです!
目次
正解
正解
I am Tanjiro Kamado, rank Mizunoto in the Demon Slayer Corps...
and I'm here to kill you!
俺は鬼殺隊 階級・癸!! 竈門炭治郎だ
今からお前を斬る
解説
今回は「名乗り」という自己紹介+「お前を斬る」という宣誓の、いずれも主語が「I」、動詞が「am」というbe動詞の文でしたね。
簡単な文に見えますが、長い文章なのでスラッシュリーディングを使いながら、文の順番をしっかり見ていきましょう。
スラッシュリーディング
I am Tanjiro Kamado/, rank Mizunoto in the Demon Slayer Corps...//and I'm here / to kill you!
「I am Tanjiro Kamado」部
1つ目の文のメイン部分、「I am Tanjiro Kamado」は、
「俺は○○だ(I am ○○)」
という典型的な表現ですね。
「I(主語)=○○(補語)」という関係が成り立つので、参ノ型(第3文型)です。
そのあとの「rank~」以下の部分は、英語は細かいことを後で説明するというルールに基づいているため、まずは「主語+動詞(+補語)」で文を作り、その後に階級やら鬼殺隊やらの説明が入ります。
「,rank Mizunoto...」部
英語の「,(カンマ)」は、前後の関係が並列になる、という意味があります。
この場合は「俺は竈門炭治郎=鬼殺隊の階級癸だ」ということですね。
実はこの「rank Mizunoto in the Demon Slayer Corps(鬼殺隊 階級・癸)」ですが、原作と文の並びが違うって気づきました?
英語は、後から内容を細かく説明する(修飾する)という言語ですが、何でもかんでも後付けにすればいいというのではなく、実はキチンとしたルールがあるんです。
それは、説明するものは「小<中<大」の順で説明する、ということです。
この場合は、「鬼殺隊」と「階級・癸」では、「鬼殺隊」の概念の方が大きいですよね?
つまり「階級・癸<鬼殺隊」の関係になるので、英語では、
竈門炭治郎
俺は鬼殺隊 階級・癸!! 竈門炭治郎だ
I am Tanjiro Kamado, rank Mizunoto in the Demon Slayer Corps
という語順になっているんですね。
日本語は大きいものから説明することが多いので、この辺の考え方の違いがありますね(だから日本人は権力者に弱い?)。
ポイント
英語の説明する修飾文は後から追加できるが、小⇒中⇒大の関係で言う必要がある
〔例〕I live in Kimetsu-shi, Yaiba-pref, Japan.(私は日本の、刃県の鬼滅市に住んでいる)
the Demon Slayer Corps
「Demon Slayer」は、鬼滅の刃の翻訳版のタイトルですが、「鬼狩り」という意味でもあります。
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「Corps」は、「軍隊、部隊」を意味する言葉ですから、「鬼殺隊➡鬼狩り隊」という感覚で翻訳されているわけですね。
ちなみに発音は「コー」で、最後の「-ps」は発音しません。
鬼滅英単語
I'm here to kill you
2つめの文「I'm here to kill you」ですが、こちらは中2の内容で、「to」以降は「おまえを殺すために」という意味になる不定詞(副詞的用法)です。
「スラッシュリーディング」で不定詞部分の前までと不定詞後でわけて考えるとわかりやすいです。
スラッシュリーディング
I(俺は)+am(だ)+here(ここ) / to kill(殺すため)+ you(お前を)
=俺はここだ、お前を殺すために➡俺はお前を殺すために来た
という形になりますね。
なお、日本語の「斬る」には、ただ切るだけでなく「刀で斬り殺す」というニュアンスを含むため、この場合、「slash(刃物で切る)」ではなく、「kill(殺す)」にしたんですね。
なお、この「I'm here」は、「ここに来た」という定番表現です。
ポイント
I'm here(ここにいるよ、来たよ)
I'm here to+動詞の原形(~しに来たよ)
〔例〕I'm here to save you.(お前を助けに来た)
おまけ:オールマイトの「私が来た」は?
ちなみに、同じ週刊少年ジャンプに連載されている『僕らのヒーローアカデミア』に出てくるオールマイトの「私が来た」は「I am here」になっています。
オールマイトは「私が」を強調しているので、「I'm」と略さず、「I am」と一語一語ハッキリ言っているんですね。
今日のまとめ
今回はbe動詞を使ったシンプルな文でしたが、色々と小細工(?)がほどこしてあって、難しく感じたかもしれません。
しかし、「主語」+「動詞」という基本の「型」をしっかりと理解した上で、細かく(そして前から)文章を理解していくことで、長い文も理解できるようになって来ますし、自分自身が自己紹介する時などにも参考になると思います。
英語と日本語では、考え方がまったく違うので、ナマの英語に慣れていくことが大事なんですね。
今日の言葉
I am Tanjiro Kamado, rank Mizunoto in the Demon Slayer Corps...
and I'm here to kill you!
俺は鬼殺隊 階級・癸!! 竈門炭治郎だ
今からお前を斬る