前々回に引き続き、『鬼滅の刃』の冒頭1ページの回想シーンの続きから、

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻
最後のコマ、
竈門炭治郎
兄ちゃんが絶対助けてやるからな
このセリフが『鬼滅の刃』英語ネイティブ翻訳版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』で、どう訳されているでしょうか?
問題
兄ちゃんが絶対助けてやるからな
*definitely=〔副詞〕確実に、間違いなく
答え

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1
正解
Your big brother is definitely going to save you!
兄ちゃんが絶対助けてやるからな
英文の解説
英語は単独で「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と表せないのは皆さんもご存じの通りですが、日本語から英語に翻訳する場合はそうもいきません。
それを「big brother」を使って、どう表現しているか?
また、be動詞「is」と一般動詞「save」と、動詞が二つ入っているのをどう考えるか?
見慣れない単語、「definitely」をどういう役割と考えるか?
という問題でした。
色んな要素がからみ合っているので、難易度がやや高めでしたね。
それでは分解して見ていきましょう。
主語
主語は「your big brother(あなたのお兄ちゃん)」ですね。
日本語には「your(あなたの)」はつきませんが、英語には「具体的に説明しないといけない」というルールがあるので、「誰の」が必要になります。
この場合は禰豆子に話しかけているので、禰豆子にとってのお兄ちゃん、つまり「your」がつくわけです。
日本人の感覚だとまどろっこしい気もしますよね。
我々は「兄ちゃんが」と言っているから炭治郎=兄ちゃんとわかりますが、英語圏では、相手を「兄ちゃん」と呼ぶこともそうですが、自分のことを「兄ちゃん」と言う文化もありません。
ですから、英語圏の人にわかるようにするには「お前のお兄ちゃんが=Your big brother」にしないと、「誰のお兄ちゃん?」って話になってしまうんです。
だから、まどろっこしく感じても「Your big brother」という表現になるんですね。
「お兄ちゃん」の英語表現については、下記ページで詳しく解説していますので合わせてチェックしてくださいね。
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禰豆子の「お兄ちゃん」を英語で?
全然名言でも何でもないですが、やっぱり鬼滅の炭治郎といったら「理想のお兄ちゃん」キャラでも有名ですね。 妹・禰豆子に対する優しさ、想いやりなど、「こんな兄がほしかった」という人が多いです(主に女子)。 ...
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動詞
次の動詞の部分ですが、使われているのは、未来の予定を表す「is going to~(~するつもり)」ですね。
通常、英語は一つの文に動詞は一つ、というルールがありますから、「is」と「save」とで二つ動詞が来て、炭治郎が「助けてやる」という未来形の話をしているので、ここは「will」ではなく、「is going to save」なんだとひらめくことが出来るとよいですね。
正確な文法では、
動詞は「is going」が「~の方に向っている」という進行形で、
後ろに続く「to save(助けること)」が「不定詞(名詞的用法)」
なのですが、
「be動詞+going to+動詞の原形」はテンプレ表現「~するつもりだ」なので、これを「can」や「will」のような助動詞のようにとらえ(これを「準助動詞」と言います)、その後の「save」が動詞とする考え方の方がわかりやすいでしょう。
ポイント
be動詞+going to+~(動詞の原形)=~するつもりだ
※未来の予定を表す
副詞が入っている理由
「be going to~」がそのままだとわかりやすいのですが、この翻訳では間に「definitely(確実に、間違いなく)」という「副詞」が入っていますね。
「definitely」は、大学入試レベルの単語なので、見たことない人も多いかもしれませんね。
英単語
「副詞」は「名詞」以外の、「動詞」や「形容詞」などの意味を装飾する品詞です。
「副」という文字がついているように、あくまでも文を飾る(修飾する)「おまけ」であって、なくても文が成立する、というものです。
ポイント
副詞:名詞以外を修飾する品詞で、なくても文は成立する
ではここでなぜ副詞が使われているかというと、原作では、

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻
炭治郎
絶対助けてやるからな
死なせない
兄ちゃんが絶対助けてやるからな
・・・というように、炭治郎が二回「絶対助けてやるからな」を言っているからです。
再び翻訳版を見てもらうと、

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1
1回目の英訳文は「I'm gonna save you.」と訳されていますが、「gonna」というのはとてもくだけた表現です。
正しい言い方にすると「I am going to save you.(助けるからな)」になります。
英単語
つまり、2回目の「definitely」がついた英訳文、「Your big brother is definitely going to save you!」と根本は同じ表現なんですね。
なので、2回目の文に「definitely」を追加することで、「is going to~(~するつもりだ)」の意味をより強めているんですね。
これが、装飾語、副詞の役割ということです。
なくても文が成立しますが、あった方がより内容が伝わる、ということですね。
今日のまとめ
ありがちな定型文でしたが、それぞれの役割を理解しておくと、意味がしっかりととらえられますよ!
今日の言葉
Your big brother is definitely going to save you!
兄ちゃんが絶対助けてやるからな