鬼滅の名言を英語で!

「もうやめろ 私はお前が嫌いだ」を英語で?【★★★★】黒死牟の涙のワケ

もうやめろ私はお前が嫌いだ

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おはようございます!

 

今回も前回に引き続き、

2/2に発売されたの英語翻訳版『鬼滅の刃』の最新20巻からピックアップ!

(なのでネタバレあります!)

 

前回は、最強剣士・継国縁壱の涙のセリフを取り扱いましたが、

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今回はもう一人の涙 がテーマです。

もうやめろ俺はお前が嫌いだ

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第20巻(集英社)

 

鬼狩りから上弦の壱の鬼・黒死牟になった

縁壱の双子の兄、巌勝(みちかつ)の涙ですね。

 

この、黒死牟の

「もうやめろ 私はお前が嫌いだ」

『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。

 

問題

    )already.
もうやめろ

I hate you.
私はお前が嫌いだ
※hate=嫌い

選択肢
①Not
②More

③Yet
④Enough

 

答え

 

もうやめろ俺はお前が嫌いだ

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.20

正解

 

④の「Enough」が正解でした!

 

定型フレーズ「Enough already.」を使った英訳でした。

 

 

解説

「I hate you.」は「I love you.」の反対の表現で解説不要かと思いますので、

「Enough already.」(とenough)の解説と、黒死牟の涙のワケに絞ってやりますね!!

Enough already.
もうやめろ

「Enough already.」

アメリカ英語(米語)の口語表現で、

「もう十分だ!」
「もうやめてよ!」

のように、相手の言い分を制するときに使う定番フレーズです。

 

作中では、

非の打ち所のない人格者かつ最強の剣士である縁壱の

(過去の言動や存在)を制したかった黒死牟の気持ちを表した言葉なので、

もうやめろ
=Enough already.

という英訳にした、というわけですね。

 

「enough」

スペルはちょっとやっかいですが、

I have enough money.
=私は十分なお金を持っている

というように、「充分に」という意味でよく知られる単語ですね。

 

「形容詞」や「副詞」の他に、「代名詞」「間投詞」にもなります。

英単語

enough
[形容詞]必要なだけの数・量、足りる、十分である、十分な
[副詞]必要なだけ、十分に、まずまず、十分に
[代名詞]十分な数・量、これ以上いらないほどたくさん
[間投詞]もうたくさんだ、うんざりだ

 

今回の巌勝(黒死牟)のケースは、「enough」に

「already(すでに、もう)」という副詞を追加する事によって、

enough=必要なほどある
already=もうすでに

で、

「もう十分だ」

という意味になるわけですね。

 

なので、

ネガティブ要素の強い表現になるワケです。

 

ポジティブな「enough」とネガティブな「enough」

「enough」の本質は、

何かをするために必要なほどの○○

ということです。

 

なので、

ポジティブな意味合いの文脈では、

There is enough members.
=メンバーは十分にいる

というような使い方ができる反面、

 

ネガティブな意味合いの文脈では、

I've had enough of my mother's kindness.
=母親の優しさにはうんざりだ

というような意味になり、

 

「enough」そのものよりも、

文脈や組み合わせでニュアンスが変わってくる扱いの難しい単語*ですね。

(*英語と日本語の単語をひとつひとつ対比させる人には)

 

「enough」を使う英会話表現

「Enough already」の他にも、

「enough」を使ったフレーズはいくつか存在します

 

「Enough」を使う定番英会話表現

Enough already.
=もうやめろ

Enough is enough.
=もうたくさんだ

That's enough.
=もう十分だ、いいかげんにしろ

Enough said.
=もう言うな

Enough about ○○.
=○○についてはもう十分だろう

 

「Enough is enough(もうたくさんだ)」は、

ことわざ・慣用句的な表現で、

代名詞「enough(十分な事)」=形容詞「enough(十分にある)」なので、

ウンザリしたときのネガティブ表現ですね。

「enough」が二つなんてくどい感じがしますもんね。

 

「That's enough」は、

会話で話を切り上げたいときによく使われます。

産屋敷耀哉

That is enough talk on this subject.
炭治郎の話はこれで終わり

お館様(産屋敷耀哉)はスローペースで話すので、

「That's」じゃなく「That is」になっているのもポイントです。

 

竈門炭治郎

P-please... Rengoku... That's enough.
煉、煉獄さん もういいですから

 

こちらは「うんざり」はしていなくてむしろ、

大怪我しているんだから「もう止めて」という感じの「enough」ですね。

 

このように、

「enough」は文脈でニュアンスが変わってくるので、

意味を丸暗記するのではなく、

実際の英文で使われている場面に慣れ続ける、英語の呼吸・常中の心意気が大切です。

 

 

コラム:黒死牟の涙と、縁壱という名の「enough」

作中では、

最強の剣士でありつつも、非の打ち所のない人格者であり、

80を過ぎた今でも、

いただいたこの笛を兄上だと思い

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第20巻(集英社)

少年の時に巌勝が渡したオモチャの笛を大事に持ちつづけていた「美しき心」を持つ弟・縁壱と、

 

縁壱のようになりたくてなれずに、

家を捨て妻子を捨て人間である事を捨て

「家を捨て妻子を捨て人間である事を捨て」

鬼にまでなった「餓鬼のような心」を持つ自分(巌勝)との

 

同じ日に生まれた双子の兄弟の「生き様」の、

それこそ使う呼吸と同じ、

「太陽と月」のような対比関係が描かれています。
(国語の言い方をすると「隠喩」です)

 

それを一番間近で見てきた巌勝は、

人間を捨てた「鬼」として、鬼狩りの弟から恨まれることは覚悟の上だったはずです。

 

にもかかわらず、

縁壱からは責められる事もなく、

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第20巻(集英社)

「お労しや兄上」と憐みの涙を流されたわけです。

 

罵詈雑言を言ってくれた方が気が楽だったに違いありません。

 

しかも縁壱は、

25歳になったら死ぬことを恐れて鬼になった自身と違い、

痣者になったのに80歳を超えても生き長らえ、

なおかつ、

鬼なってずっと修行し続けた自分よりも尚強い

 

もう、十分だろうと。

なんなんだお前はと。

「もうやめろ」と。

 

そう、

これがまさに「enough」なんですね。

縁壱の存在そのものが巌勝にとっての「enough」なんです。

 

そして(すやこ以外で)一番身近にいた巌勝は、

そのことをすでに(already)十分感じていた。

 

だから、

「最初から十分わかってるんだ、だからもう、これ以上自分より優れた部分を見せないでくれ」

という意味での

「もうやめろ=Enough already.」

であり、

 

そこで必要だったのが、

「私はお前が嫌いだ=I hate you.」という、

自分の本当の感情を押し殺すための言葉だったわけです。

 

でも、

憎しみに駆られていた心も、

縁壱が少年の時の心のまま純真無垢でいた証である「笛」を見た際に、

 

鬼になって消えたはずの、

自分の中に残っていた「兄・巌勝の心」が、

「鬼・黒死牟の目」に涙を流させたのです。

 

それは、

言葉とは真逆の本心、感情がそこにあったからでした。

私はただ縁壱お前になりたかったのだ

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第20巻(集英社)

「私はただ、縁壱、お前になりたかったのだ」

 

素直になれなかった心が、

流させた涙でした。

 

 

最期、黒死牟(巌勝)は、

全てを捨ててきたのに、

ここまでしても駄目なのか

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.20

But even all that wasn't enough.
ここまでしても駄目なのか

 

・・・とこれまでの人生をふり返りました。

 

縁壱という「enough」に、

達する事が出来なかった(=wasn't enough)自分だった、と。

 

つまり、

「enough」というのは、

自分の中に「基準」があって、それが十分満たされている

ということで、

 

巌勝(黒死牟)の不幸は、

世界に一人しかいない双子の片割れに、

 

素直に憧れられればポジティブな「enough」だった感情が、

 

「巌勝」という勝つ事にこだわって名づけられた「兄」という呪縛が、

ネガティブな「enough」となって彼の人生を包んでしまった、

 

というところにあるのかもしれません。

 

 

今日のまとめ

単語の「意味」は「辞書」に書いてありますが、

実際には「文字」で書かれた意味以上のものがそこにはあります。

 

「enough」が辞書を調べると、

もの凄い長い文で説明されている事がわかると思いますが、

巌勝(黒死牟)にとっての縁壱が「enough」

ということをおぼえておく、というのも一つですよ!!

 

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