『鬼滅の刃』の記念すべき冒頭1ページの回想シーンから、
竈門炭治郎
禰豆子 死ぬなよ 死ぬな
を『鬼滅の刃』の、英語ネイティブ翻訳版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』で、どう訳されているでしょうか?
問題
禰豆子 死ぬなよ 死ぬな
ヒント:同じものが入ります!
答え
正解
禰豆子 死ぬなよ 死ぬな
解説
この文は、実にシンプルな構造です。
炭治郎が「Nezuko don't die. Don't die.」と「don't die」を二回くり返していますが、二回目が「Don't」から始まっているところがポイントです。
主語
一つ目の「Nezuko don't die.」の主語は間違いなく「Nezuko(禰豆子)」ですね。
ただし、二回目の「Don't die」に主語がありません。
動詞
動詞は「die(死ぬ)」です。自動詞です。
英単語
一般動詞「die」の否定形ですから、「don't die」で「死ぬな」ですね。
今、呼びかけているので、過去形「didn't」にすることは当然出来ません。
Don't~から始まる理由
二回目の「Don't die.(死ぬな)」に主語がなく、「Don't」から始まるのは、これがいわゆる「命令文」の形になるからですね。
「命令文(命令形)」は、動詞の原形から始まる文で、相手に動詞の行為を促す文です。
参考
Go.(行って/行け)
Go ahead.(先に行って/やれ)
Help me.(助けて/助けろ)
英語は日本語と違って、同じ表現だけど言い方やアクセントで、意味合いを強くしたり弱くしたりすることがありますので、同じ「Go.」でも、「行けやッ!」という感じの時もあれば、「行って!」という感じになる時もあるわけです。
今回は、「die(死ぬ)」という動詞の否定をしないといけないので、一般動詞の否定に意味をつける「Don't」を先に出しているわけです。
(乱暴な表現ですが)「死ね」であれば「Die.」になるところが、その否定文なので、「Don't die.(死ぬな)」という形になっているわけですね。
つまり、
否定形の命令文(否定命令文)は、「Don't」から始まるということです。
ちなみに一般動詞ではなく「be動詞」の命令文は「Be~」、否定命令文は、「Don't be~」という形になりますのでお気をつけくださいませ。
あくまでも「動詞の原形」なんです。
「am」「is」などbe動詞の原形は「be」ですからね。
命令文に「主語」がない理由
なお、命令文に「主語がない」と言ってきましたが、実際は存在します。
この場合は「Nezuko」もしくは「You」。
あくまでも「命令文」とは、主語を省略した文なんですね。
なので、2つめの「Don't die.」という命令文は、1つめの文「Nezuko don't die.」をただただ短縮して、「don't die」という気持ちを前面に出した表現、ということですね。
英語は、文の前のほうに重要なことを言いたい、という言語ですので、命令形はその典型なんです。
炭治郎の禰豆子への呼びかけも、日本語でも2回「禰豆子」と言う必要がなかったですよね?
そういう部分では、日本語と似ている表現かもしれません。
命令文の「動詞」が原形の理由
そもそも「命令文」には主語が「隠されている」だけで、実際は「You」として存在しているので、命令文に使う動詞が「原形」になります。
なぜなら、命令文を使うのは、
「今(現在)」、
「目の前にいる人(You)」
に対してだからで、「You」が主語の現在形の動詞は、動詞の原形となることが決まっているからです。
だから当然、主語が「he」や「she」になることはないため、三単現の「s」がついたりという変化はありません。
つまり、
動詞の原形しか「ありえない」のです。
さらに言うと、主語を省略する命令文は、正確に言うと今からちょっと先の未来に「Go.」なり「Don't die.」してほしいので、過去への命令も出来ないので、過去形もありません。現在形(原形)しかありえないのです。
なお、もう少し先の未来で言う時は、「will」などを使って「You will go there tomorrow.(あしたそこに行きなさい)」のようにしなければなりませんが、この場合、主語は省略できません。
命令文が主語をすっ飛ばしているのは、急いでいるからですね。
明日の話なら、急いでないですよね。
炭治郎の「死ぬな」も、急いで言いたいから、主語をすっとばせるんです。それが命令文のポイント、ということですね。
今日のまとめ
今回は命令文の否定文を学びましたが、「not」じゃなく「don't」になるという点をしっかり理解しておきましょうね!
今日の言葉
Nezuko... don't die. Don't die.
禰豆子 死ぬなよ 死ぬな