『鬼滅の刃』名シーンでわかる英文法 鬼滅の名言を英語で!

英語版『鬼滅の刃』でわかる「○○の神」を英語で?~祭りを司る神?

派手を司る神…祭りの神だ

スポンサーリンク

『鬼滅の刃』の世界では、

「ヒノカミ様」という表現はあっても、

実際に「神」という存在自体は出てきません。

鬼舞辻無惨も「この千年 神も仏も見たことがない」と言っていますしね。

 

そんな中でも、

「○○の神」が出てくるシーンがあるのですが、

これはいわゆるギャグパートですね。

 

「○○の神」を英語で?

「神」が登場するのは、

今年アニメ化される事が決まった、「遊郭編」導入部の一コマです。

 

「神」を英語で?

単行本9巻の冒頭、

上官なのにまったく敬う気がない炭治郎たち一行を従えて、任務をすることになった音柱・宇髄天元が、

上官と下官の身分の差を「いいか?俺は神だ お前らは塵だ」と言い放ちました。

参考「いいか?俺は神だ! お前らは塵(ごみ)だ!」を英語で?【難易度★★★】ドリルの語源も?

『鬼滅の刃』に登場するキャラクターの中で、 主人公の竈門炭治郎が属する「鬼殺隊」の最高幹部である「柱」は、どれも個性派揃い。   今回は、 今年アニメ化される事が決まった「遊郭編」でやっと見 ...

続きを見る

 

その後にも、

さらに追加で自身のことをこう言い放ちます。

俺は神だ

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第9巻(集英社)

「俺は神だ!」

 

このシーン、もちろん「神」を英語で言うと、

俺は神だ

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.9

宇髄天元

I'll say it again... I am a god!
そしてもう一度言う 俺は神だ!!

※again=再び、もう一度

 

そう、「a god(ゴッド)」ですね。

(女神の場合は「a goddess(ガッデス)」)

「a」がつくので単数形です。

 

神は「a god」?「God」?

実は、日本語では「神」と言っていても、

英語では2種類の表現が存在します。

 

一つ目が、

宇髄の言った「a god」で、

 

もう一つは、

冠詞がつかない「God」です。

 

単数形というのは、「複数存在する内の一つ」という意味ですから、

「a god=複数いる神の中の一人

という意味になります。

 

これは我々日本人にはすんなり理解できるのですが、

英語圏では冠詞がつかず大文字で「God」と書くこともままあります。

 

冠詞が付かずに大文字から始める単語は、

「Japan」
「American」
「English」
「Tom」

など、固有名詞の特徴ですが、

この「God」も固有名詞として使われる「神」です。

 

他に神はいない(唯一神)ということを表す時は、

「a」も「the」もつかず、大文字から始まる「God」が使われます。

 

宇髄の場合は、「祭りの神」と言っているわけだから、

唯一神ではないので「a god」という訳が正解なのです。

 

「祭りの神」を英語で?

そこで本題。

 

「神」はわかるにしても、

「○○の神」という時は、英語ではなんと言うかですね。

 

「○○の神」が登場するシーンは、

宇髄さんの「俺は神だ!!」と言った後に、

主人公・炭治郎が真面目な顔で

「具体的に何を司る神ですか?」

天然な質問をした後に、

「いい質問だ お前は見込みがある」

といった後の宇髄の返答の後に出てきます。

派手を司る神…祭りの神だ

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第9巻(集英社)

宇髄天元

派手を司る神…祭りの神だ

真面目な顔して聞いたこともない「神」を自信満々に披露する宇髄。

この後善逸の心の中でツッコミが入ります。

 

コチラのセリフですが、

実にシンプルに「○○の神」が訳されています。

 

派手を司る神…祭りの神だ

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.9

例文

I'm the god of glam and flash... the god of festivals!
派手を司る神…祭りの神だ

※glam=魅力的、flash=派手、festival=祭

 

祭りの神は

the god of festivals

と表現されていますね。

 

「祭り=festival(フェスティバル)」

というのは割とすんなり受け入れられると思いますが、

気になるのは「festivals」と、複数形になっていることですね。

 

基本的に「祭り(festival)」というのはいろんな物があって、

「回数」「種類」で数えられるもの、つまり可算名詞なんですね。

 

いろんな祭りを司る、祭りの神」

だから

「祭りの神=the god of festivals」

と複数形になっているんですね。

 

これが、何か特定の「○○祭りの神」であれば、

the god of the ○○ festival

のような表現になりますね(そんな神もヘンですが)。

 

「派手を司る神」

ちなみに「祭りの神」の前のセリフで、原作では「派手を司る」という表現になっていますが、

実は先ほどの例文にあったように、英語版では、

the god of glam and flash
=魅力的で派手な神
(原作)派手を司る神

というように、「the god of ○○で「司る神」を表現していますね。

 

「glam」は、
「glamorous(魅力的な)」の略で、魅力的な男性の形容に使われます(名詞にもなります)。

「flash」は、
光る「フラッシュ」の意味でもありますが、「派手」「派手な」を意味する言葉ですね。

 

鬼滅英語版では基本的に「派手=flash」で訳していますが、このシーンのみ「glam」がついているのは、

the god of flash
=派手の神

だけでは英語圏の人にはイメージが湧かないので、

the god of glam and flash
=派手で魅力的な(男の)神

という宇髄さんらしさが伝わる表現にしたんでしょうね。

(「派手の神」は日本語でもよくわからないのですが!!)

 

「司る」を英語で?

ちなみに

日本語の「司る」の訳語の候補としては、

administer(治める、管理する、運営する)
manage(管理する、監督する)
control(支配する、管理する)
preside over(支配する、統率する)

という感じでいろんな候補が出てきますが、ピッタリの英語がないせいか、

いろいろなものに訳される時の状況によって、選択される単語が異なるようですね。

 

これは何もこのシーンに限ったことではなく、

同じく「司る」という言葉を使うこの宇髄のセリフの次の、

アホだな

例文

What an idiot.
アホだな

Without a doubt, he's the god of idiots.
アホを司ってるな 間違いなく

※idiot=アホ・大馬鹿、without a doubt=間違いなく

 

「司る」という訳語をあえて使わず、

the god of idiots
=アホの神

という風に訳されています。

(idiotも可算名詞なので、複数形になっています)

 

「○○の神」「○○を司る神」を英語で?

以上のことから、

 

基本的に「神」という存在だけを指すのであれば

「a god」

 

「○○の神」「○○を司る神」と言いたいのであれば、

特定の神を言っているので特定する冠詞「the」と、

○○という名詞の前に前置詞「of」をつけた、

the god of ○○

のような形にする、ということですね。

 

ちなみに日本ではこの「the」が省略されて

「ゴッド・オブ・○○」という風に書かれることが多く、

そういったタイトルのマンガもあります。

「ゴッド・オブ・ブラックフィールド」という異名を持った最強の傭兵が高校生に転生するお話ですが、結構過激でスリリングです!

 

こちらの『ゴッド・オブ・ハイスクール』は韓国生まれのマンガで、昨年、全世界でアニメ化もされました。

 

 

なぜ「○○の神」も「○○を司る神」も同じ英訳?

にしても「司る」を省略して、

「~の=of」で代用するなんて英語はいいかげんだな~

と思ったりしている人もいるかもしれません。

 

でもそれは、

「神」に対しての英語圏との文化・考え方の違いによるところが大きいのです。

 

日本での「神」の考え方

たとえば、

日本には「八百万の神」という言葉があります。

 

「八百万(やおよろず)」は、
「八百(やお)=無数」「万(よろず)=色々」という意味で、

「山の神」
「池の神」
「土地の神」
「トイレの神」
「米粒の神」

など、小さなものから大きなものまで、無数に何かを司る神様が存在する、という考え方でですね。

 

逆に言うと、それこそが「神」なんですね。

神は何かを司っているのが前提

 

だから、炭治郎の、

「具体的には何を司る神ですか?」

という素朴な質問が生まれるわけです。

(もちろん、真剣に聞くシチュエーションではないけどね!)

何を司る神ですか?

Whatから始まって、~the god of? で止まっているのがポイント

 

このような考え方はなにも日本だけでなく世界中にあって、

たとえばハワイでは、

富士山よりも高いキラウエア火山は「ヤキモチな女神」が住むとされていますし、

「ウミガメ」も海の守り神ということで、触ることが禁止されています(罰金を取られます)。

 

ヨーロッパでの「神」の考え方

では、西洋ではどうでしょう?

ヨーロッパは戦いの歴史ですが、紀元前に栄えたギリシア文化では、

最高神「ゼウス」
海の神「ポセイドン」
月の神「アルテミス」
芸術の神「アポロン」
愛と美の神「アフロディーテ」

など、何かを司る神が存在していました

 

しかしその後、

ヨーロッパで勢力を拡大し、政治すら支配したのは、

「神は一人」とする「一神教」

「ユダヤ教」やその後発の「キリスト教」でした。
(アラビア語圏では「イスラム教」)

 

一神教は、

万物すべてをその全能の神(唯一神)が作り、

あとは神じゃないもの(天使)が「使い」として仕事する仕組みです。

 

これは国民を支配する体制側にとても相性がよくて

唯一神をバックに抱える勢力が、国民を支配できるわけですね。

大戦前の日本が、天皇を「神」と崇めて国民を支配したのも同じ仕組みです。
(だから、戦争に負けた後「天皇は人間である」という風になりました)

 

その結果、社会で習うように、

ヨーロッパ全土にキリスト教が広まり、

ヨーロッパ各地に元々あった、日本のような「地域の神」はキリスト教によって排斥されたり、吸収されたりしていきました。

 

そして、それは大航海時代⇒植民地時代を経て、「聖書」と共に世界中に広がっていきました。

英語を始めとする、ヨーロッパ言語と共に。

 

英語圏における「神」

そのような背景があるため、

「英語」とキリスト教は密接な関係のある言語と言えます。

 

一神教がベースなんですね。

 

ですから、

「英語の感覚(英語の呼吸)」では、

日本人が八百万の神を信仰するような

「○○を司る神」という概念が元々ない

と言え、

それが表現の違いにも現れてしまうから、

日本語の「司る」にピッタリの英訳が存在しない

と言っても過言ではありません(言い過ぎですか??)。

 

とはいっても、

英語が一神教だから他の神々の存在を認めていないかというと、

そんなことはなくて、

ローマ帝国ではキリスト教が国教になっても、ローマ神話の神々の話はみんな知っていたわけです。

 

ただ、

あくまでそれは、現代日本人が思う「○○の神」と同じような感覚だったのでしょう。

 

そういう「○○の神」の存在を認めはしても、

自分たちが積極的に仰ぎ見る対象ではないんですよね。

 

なので、普通に、

「the god of ○○=○○の神」

と、仰ぎ見る感のない、「何かの神」の説明で終わっているのです。

 

死神は、神じゃない??

もっと言うと、

我々日本人は結構「神」がつくものを思いつきますが、

英語の世界ではそれを「神」と言わないものもあります。

 

例えば「死神」。

 

我々は「死神」という言葉を聞くと、

大きな鎌を持った「死を司る神」「死を招く神」みたいなイメージを持ちますよね?

 

では、あの「死神」を英語でなんと言うかというと、

「the Grim Reaper」

と言います。

 

どこにも「神=god」という言葉がありませんが、

この言葉で画像検索しても、それが我々の思う「死神」を指すというのがよくわかると思います。

死神でのGoogle画像検索

「grim reaper」で画像検索した結果

 

ちなみにこの「Grim Reaper」の意味ですが、

grim=容赦ない
reaper=reap(刈りとる)する人

を意味して、「(人生の時間を)容赦なく刈りとる者」を指します。

 

どこにも「神」という要素はありません

日本人の感覚(や他の多神教の人の感覚)では、万物に神が存在するわけですから、「死」を担当する神がいるのはおかしいことではありませんが、少なくとも「英語」では、この「the Grim Reaper」を「神」とは認めていないわけですね。

 

実際、

この「grim reaper」は、キリスト教の立ち位置的には「悪魔」です。

歴史的経緯としては、キリスト教以前の宗教で存在した「鎌を持った神」が、悪魔扱いされた、という説もありますが、とりあえずここではそれは置いておいて、

とにかくこのように

「○○を司る神」がいないから、そういう表現を使わないのが英語なんですね。

 

だって、

すべては「一つの神」の元にあるものであって、

司る(=上の方にある)ものなどないのです。

 

だから日本語で、

「○○を司る神」と書いてあっても、

「○○の神」と書いてあっても、

同じように「the god of ○○」と訳されてしまうわけですね。

文化が違えば、言葉もちがう、という良い例でしたね。

 

 

今日のまとめ

「英語」を学ぶことの意義として、「外国の考え・文化」を学ぶといったことがあります。

 

今回テーマとした、

「神」

もその一つで、我々日本人の感覚で考えていると、

「a god」と「God」を混同してしまうこともままありますね。

 

こういった言葉の違いを「おかしい!」と思うより、

「おもしろいなぁ!」と思ってもらえると、

英語であろうとなんであろうと、様々なことへの学びが深くなりますし、記憶に定着しますよ!

 

今日の言葉

I'll say it again... I am a god!
そしてもう一度言う 俺は神だ!!

What exactly are you the god of?
具体的に何を司る神ですか?

I'm the god of glam and flash... the god of festivals!
派手を司る神…祭りの神だ

What an idiot.
アホだな

Without a doubt, he's the god of idiots.
アホを司ってるな 間違いなく

 

今日のテキスト

-『鬼滅の刃』名シーンでわかる英文法, 鬼滅の名言を英語で!
-, , , , , , ,

© 2024 鬼滅の刃で全集中・英語の呼吸!!