おはようございます!
今週は、まったく個人的な理由で伊之助ウィークですので、鬼滅英単語は獣の呼吸しばりでいきますね。
今回のお題はこちらです。
全集中・英語の呼吸で頑張りましょう!
那田蜘蛛山編で父蜘蛛に捕まえられたときにくり出した、
この、「獣の呼吸・壱ノ牙 穿ち抜き」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
なお、「獣の呼吸」については、
こちらもCHECK
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「我流・獣の呼吸」を英語で?【難易度★★】
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をご覧くださいませ。
それでは行きますね。
問題
獣の呼吸 壱ノ牙
Pierce!
穿ち抜き!!
※pierce=[動詞]突き通す、貫く
選択肢
①Fang
②Fung
③Fank
④Funk
「壱ノ」は「第一の」を意味する「First」でしたが、
伊之助の「獣の呼吸」は我流だけあって、「型」ではなく、「牙」になっているんですね*。
*攻撃系じゃないものだけは「型」
そしてその、「牙」がどのスペルになるか、という問題です。
答え
正解
獣の呼吸 壱ノ牙
Pierce!
穿ち抜き!!
①の「Fang」が正解でした!
解説
それぞれの単語の意味をしっかり学びましょう。
今回の英単語
「牙」を英語でなんというか?
という問題でしたが、正解は「fang(ファング)」でした。
学校英語ではほぼ使わない単語ではありますが、ゲームやアニメ、特撮の世界では「技」の名前として使われることもある単語なので、「なんか聞いたことある」という人もいるかもしれませんね。
英単語
[名詞]牙、犬歯、毒牙
実は、
英語には日本語の「牙」に該当する単語が2つありまして、
1つはこの「fang」、
もう1つは「tusk」というのがあります。
英単語
[名詞]牙、出っ歯、牙状の物
「fang」と「tusk」の違いと、「fang」が採用された理由
では、
「fang」と「tusk」の違いは何かというと、
「牙」以外の訳に着目してみるとわかりやすいですが、
fang=牙、犬歯
tusk=牙、出っ歯
となっていますね。
「fang」は
「犬歯」つまり、通常は口から出ておらず、必要な時に使う牙を指すわけですが、
「tusk」は
「出っ歯」となっているように、口から出ている牙状の物を指すのです。
なので、辞書によっては、
ウィズダム英和辞典
fang=(肉食動物の)牙
tusk=(ゾウ・イノシシなどの)牙
と書いてあったりします。
・・・・ん?
「イノシシの牙はtusk」ですね・・・
伊之助のかぶり物は「イノシシ」ですし、
「猪突猛進」の「猪」も「イノシシ」なのに、
なぜ「fang」だったのでしょう?
伊之助の「獣の呼吸・○ノ牙」って、イノシシの牙じゃないの??
・・・という衝撃な事実が発覚しましたね。
誤訳??
という感じがしないでもないですが、
「fang」をもう少し深掘りして見ると、誤訳ではないことがわかります。
なぜなら、
「fang」が示す「牙」には、飛び出ているヘビの毒牙、クモのアゴも入るからです。ようは、獲物を捕食するための牙ってことですね。
かたや、
「tusk」には、イノシシや象の他、セイウチや一角獣の牙、つまり、主に護身用の武器としての意味しかないので、食事には使わない牙です(というか使えません)。
伊之助の「○ノ牙」は、「穿ち抜き」こそ真っ直ぐ突くイノシシッぽい技ですが、それ以外は、斬り込み系の技ばかりで、イノシシの牙っぽくないからという理由で、「tusk」ではなく「fang」が採用されたのだと思います。
「pierce」とは? 発音にヒントが!
肝心の技名である「穿ち抜き」ですが、
「pierce」
という、一見なじみのない単語1つになっていましたね。
でも実はこの単語、発音を聞けば、誰しもが「あれっ?」と思うはずです。
英単語
[動詞]突き刺す、穴を開ける、刺す、突き抜ける、ピアスの穴を開ける
どうでしょう?
「ピアス」
と聞こえませんでしたか?
そう、あの、耳の「ピアス」は、
この「pierce」から来ているんですね。
なんなら、
「pierce」は動詞なので、ピアスの穴を開ける時にも使うように、対象を貫通するくらい刺す、という意味になります。
壱ノ牙「穿ち抜き」は、
穿つ=穴を開ける
抜く=ふさがれたいたものを細い物で突き破る
が組み合わさった語なので、「pierce」一言でそれを表現できちゃう、と判断されて訳されたんでしょうね。
なんか「ピアス」って軽いイメージだし、
ちょっとアッサリしすぎて物足りない気もしますが、
ウィズダム英和辞典 第4版
The bullet pierced the door.
弾丸はドアを貫通した.
のように、対象を貫き通して行くほどのアクションが「pierce」なので、「穿ち抜き」の訳として問題ないわけですね。
「ピアス=pierce」じゃない?
しかし、物である「ピアス」が、
「動詞」っていうのも、我々日本人からすると変な感じですよね。
しかもそれが、
「穿ち抜き=ピアスする」ですからね。
伊之助が二刀で鋭く突き刺すイメージと、どうしても重ならない。
でも、そうじゃないんです。
そもそも我々の知っている「ピアス」という言葉が間違いなんです。
実は、我々の言う「ピアス」ですが、あれ、英語じゃないんです。
和製英語なんです。
「pierce」には「名詞」がなく「動詞」しかありませんからね。
日本では、
穴を開けて耳につける物を「ピアス」
ぶら下がっている物を「イヤリング」
と言っていますが、
英語圏では、
耳につける物はまとめて「earring(イヤリング)」と言います。
(2つの場合はearrings)
イヤリングの中にピアスも入るわけですね。
あえて分ける場合は、
穴を開けて耳につける物「pierced earrings」
ぶら下がっているもの「clio-on earrings」
のように言うのです。
ですから、
英語圏で日本人が「ピアス」と言っても通じないどころか、
「穴を開ける?うん?」
という反応をされてしまうんですね。
英単語
[名詞]ピアス
なお、発音を聞いてもらうとわかりますが、
スペルは「pierced(「pierce」の過去分詞=穴を開けられた)」になっていますが、日本人の耳には「ピアス・イヤリング」と聞こえるので、「イヤリング」が先に入っていた日本では、それと区別するためにいつしか、「ピアス」とだけ呼ぶようになったと考えられます。
「pierce」という動詞の過去分詞(=形容詞)になって、
「形容詞(pierced)+名詞(earrings)」だったものが、
耳に聞こえた「ピアス」だけ残って、定着化したわけですね。
そう、日本人が勘違いしているのが悪いんです!!
今日のまとめ
何気なく使っている言葉も、日本語と英語では細かく見ていくと実はニュアンスがちょっと違っていたり、間違って翻訳されているということもある、ということがよくわかりましたね。
この辺「別にいいじゃん」としてしまいがちですが、せっかくなのでこういった「違い」などを楽しんでもらえたら、英語にもっと興味を持ってもらえると思いますよ。
例文
Beast Breathing First Fang:
獣の呼吸 壱ノ牙
Pierce!
穿ち抜き!!