昨日、5月19日は、栗花落カナヲの誕生日でした。
(忙しくて書けず…)
カウントダウンが毎日あるので、
さすがに2つも書くのは厳しかったです・・・言い訳です。
(ネタバレあり)
目次
本日の課題
今回は、今まで感情を押し殺して暮らしてきたカナヲが、ついに過去を乗りこえるシーンですね。
この、「ごめんなさい姉さん ごめんなさい 私あの時泣けなくてごめんなさい」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
I'm sorry, Kanae... I'm sorry.
ごめんなさい姉さん ごめんなさい
I'm sorry I couldn't cry( )you.
私あの時泣けなくてごめんなさい
選択肢
①to
②with
③on
④for
「you」の前の前置詞はなにか?という問題です。
答え
正解
ごめんなさい姉さん ごめんなさい
I'm sorry I couldn't cry for you.
私あの時泣けなくてごめんなさい
※音声は合成です
④の「for」が正解でした!
解説
I'm sorry
いずれの文も「I'm sorry=ごめんなさい」から始まる文でしたね。
最初の文が、
I'm sorry, Kanae... I'm sorry.
ごめんなさい姉さん ごめんなさい
と「Kanae=カナエ」になっているのは、
英語圏の感覚だと「姉さん」と呼ぶ呼び方は一般的でないからですね。
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姉さんだろうと妹だろうと、
ファーストネームで呼ぶのが基本だから、「Kanae」になっているんですね。
I'm sorry I couldn't cry for you.
私あの時泣けなくてごめんなさい
英語は、
一つの文に主語と述語(動詞)が一つずつ
というのが基本ルールですが、
この文は、
I'm sorry
のあとに
I couldn't cry for you
というもう一つの文が来ていますね。
これは何かというと、文法用語で「that節」というものです。
本来なら「that」が接続詞として入って、
I'm sorry that I couldn't cry for you.
となっている文の、「that」が省略されたものです。
この、省略する「that」以降を「文」ではなく「節」と呼ぶので、
「that節」というわけです。
「that」がなくても、後ろに主語+動詞の「節」が来ていれば、
「これはthat節だな」とわかるので省略されているんですね。
I'm sorry that節
この
「I'm sorry that節」は、
「~はごめんなさい」という意味になる定型表現です。
定型フレーズ
=~でごめんなさい、~について申し訳ない
※thatは省略されるのが普通。to節やforは省略しない
[例文]I'm sorry (that) I'm late.(遅れてごめん)
that節の内容を「I'm sorry」という表現ですね。
今回、
カナヲの言った言葉の英訳では、「that節」部分に
couldn't cry=泣けなかった(述語動詞)
for you=あなたのために
という節が来ていました。
「couldn't」は、
「can」の過去形「could」の否定形ですね。
「for you」は、
「present for you(プレゼント・フォー・ユー)」の時の「for you」ですね。
あなたのために、あなたに対して、というような意味ですね。
相手に届かないかもしれない時に使う前置詞です(届くのが決まっているときはto)。
これらをまとめると、
I'm sorry I couldn't cry for you.
=私はあなたのために泣くことが出来なかったことはごめんなさい
=私あなたのために泣けなくてごめんなさい
となります。
英文の意味としては上記の通りなんですが、
これ、原作とちょっと違いますね。
誰がための「for you」
原作は、
私あの時泣けなくてごめんなさい
と「あの時」となっているのに、
「then」とか「at that time」を入れずに、
なんで「for you」は入れたのか?
これはおそらく、
誰に対して泣いているのかハッキリさせた方が気持ちが伝わるからでしょうね。
日本語は「行間を読む」といったことを求めますが、
英語は「言いたいことは言う」という言語なので、
カナヲのカナエへの(以前は伝えられなかった)気持ちを形にするための「for you」だったんですね。
そもそも、
「for=~のために」だから、
「for you=あなたのために」というのは、
あくまでも日本語的に「対訳」する中で生まれた方法であって、
「present for you」
「just for you」
など、相手に対しての「気持ち」を伝える時に使う表現が「for you」だから、
この場合も「for you」は訳さずに、
I'm sorry I couldn't cry for you.
=私あなたのために泣けなくてごめんなさい
⇒私泣けなくてごめんなさい
としてもいいんですね。
ちなみに、
原作にあった「あの時(then)」がないのは、
次のコマに答えがありました。
栗花落カナヲ
When Kanae died... I'm sorry I couldn't cry.
カナエ姉さんが死んだ時 泣けなくてごめんなさい
あとで説明するからいらないよね、という判断だと思います。
極めて合理的な考えが英語、なんでしょうね。
今日のまとめ
日本語だと「泣けなくて」と「泣かなくて」は意味が違いますが、
英語は「for you」を入れることで「泣けなくて」の原作のニュアンスを再現できるわけですね。
つまり、泣く対象があるということです。
このように、言語の細かな違いが訳にもちょっとずつ影響を及ぼすので、「なんかヘンな訳だな~」と思いながらも、謙虚に、英語の感覚(英語の呼吸・常中)で考えることって大事だな、と思いましたよ。
ちなみにここからのカナヲのセリフは、英語版でも興味深い訳なので、ぜひとも和訳にチャレンジしてくださいませ!
今日の言葉
I'm sorry, Kanae... I'm sorry.
ごめんなさい姉さん ごめんなさい
I'm sorry I couldn't cry for you.
私あの時泣けなくてごめんなさい
※音声は合成です