今回はちょっと巻を進めまして、『鬼滅の刃』第5巻から、冨岡義勇さんのイケメンな名ゼリフから。
冨岡義勇
俺が来るまでよく堪えた
を、鬼滅英語版でどう翻訳されているのか?
なお、「後は任せろ」についてはまた次回やりますので、今回は前半部分のみです!
問題
俺が来るまでよく堪えた
英単語
もちこたえる、がんばり抜く
答え
正解
俺が来るまでよく堪えた
「~まで」を意味する「until」が正解でした!!
解説
この文は若干難しく見えるかもしれませんが、「until」が前置詞ではなく接続詞として使われることを知っていると、とてもシンプルな文章です。
スラッシュリーディングをすると、
メモ
You did well / to hold on // until I got here.
という感じになりますね。
主語・動詞部
主語はもちろん「You」、つまり炭治郎のことですね。
動詞は「did」です。「do」という動詞の過去形ですね。
通常、「do」を使うのは、「Do you~?」という疑問文や「No, I don't.」のような否定文で使うことが多いですが、それは助動詞のような使い方(準助動詞)で、今回使っている「did(doの過去形)」は、一般動詞としての使い方です。
ポイント
doには「助動詞の働きをするdo」と「一般動詞のdo」があり、「一般動詞のdo」は「する、やる、行動する」という意味
なぜ「準助動詞」ではなく「一般動詞」として読み解けるのかですが、理由は実にカンタンで、疑問文でも否定文でもないし、後ろに動詞が来ずに「well」という副詞がついているからです。
(後ろの「to hold on」の「hold」は「to」の後ろに来るので不定詞だから「主語+動詞」の動詞にはならない)。
今回の冨岡さんのセリフでは「did(した)」+前の動詞を強調する副詞「well(よく、十分な)」で、「よくやった」となるわけです。
つまり、
ポイント
You did well(お前はよくやった)
・・・という意味になります。
ちなみにこれは上司が部下を、親が子どもを褒める時の定番のネイティブ会話表現だそうですが、冨岡さんのように人を褒めそうにない人から言われたらメチャ嬉しいでしょうね!
to不定詞
「You did well(お前はよくやった)」の後に続くのは「to hold on」ですが、
すでに「did」が動詞として使われているので、「hold」は文の動詞ではなく、前に「to」がついているので「to不定詞」です。
「hold on」が「もちこたえる、がんばり抜く」という意味ですから、「to hold on」で「持ち堪えたこと」という目的語になります。不定詞の名詞的用法ですね。
つまり、
メモ
You did well to hold on(お前はよく持ち堪えることをしてくれた➡よく堪えた)
と英語に訳しているワケですね。
「until」
その後に続くのが「until」以下の文ですね。
「until」には、「of」や「with」の仲間の「前置詞」と、「but」や「because」の仲間の「接続詞」の使い方があります。
英単語
〔前置詞〕~まで(ずっと)、~までは
〔接続詞〕~するまで、~するまでは
意味も似たような感じですが、今回の例は「接続詞」です。
見分けるポイントは、「until」以下の文が「主語+動詞(+α)」という「文」になっているかいないか?です。
前置詞は「名詞」の前につけるもので、後ろに動詞は繋がりません。
参考 前置詞
with my friend(私の友だちと)
until 10 p.m.(午後10時までに)
しかし、「接続詞」は文と文をつなげるものです。
「until I got here.」
は、「until」の後ろに「主語(I)」と「動詞(got)」でできている「文」が来ていますね。
だから、この「until」は接続詞として使われるのです。
(ちなみにそのあとの「here」は副詞です)
なお、「got」は「get」の過去形で、通常は「手に入れる」「ゲットする」という意味になります。
ただ、今回は「主語+動詞」のみの文型、つまり「壱ノ型(第1文型)」なので動詞は「手に入れる」という意味の「他動詞」ではなく、「行く」「着く」という意味となる「自動詞」となります。
英単語
〔自動詞〕行く、着く、なる
〔他動詞〕手に入れる、受け取る、得る、わかる
「行く」と「着く」は日本語的には意味が違う感じがしますが、英語の「get(自動詞)」はその後に続く「副詞」によって意味が変化し、この場合は副詞「here(ここに)」が着いていますので、「I got here」で「ここに着いた」という意味になります。
だから、「until」を接続詞として使い、
メモ
until I got here.(ここに俺が着くまでに➡俺が来るまで)
という翻訳になったんですね。
本日のまとめ
日本語だと原作のように「よく堪えた」という褒め言葉は後に言うことが多いわけですが、英語は、「よく堪えた」を先に言う、つまり、褒めるのが先なんですね。
その後に、「何を(to hold on)」「いつまで(until I got here)」とその内容を細かに説明するわけです。
そういう意味で、「外国人の男の方がたくさん褒めてくれる」となびく女性が多いのもうなずけます。余談ですけど。
今日の言葉
You did well to hold on until I got here.
俺が来るまでよく堪えた
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