鬼滅の名言を英語で!

「そのしくじりで妹を取られている」を英語で?【難易度★★★】

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前回、『鬼滅の刃』第1話で、主人公の竈門炭治郎が、鬼になった禰豆子を守るために冨岡義勇と対峙したはずが、簡単に禰豆子を奪われ、土下座して禰豆子の命乞いをした結果、「生殺与奪の権を他人に握らせるな」と怒られ、その後、追い打ちをかけるかのように、「なぜ斧を振らなかったなぜ俺に背中を見せた!!」と言われたシーンをやりました。

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今回はその続きです。

 

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻(集英社)

 

冨岡義勇

そのしくじりで妹を取られている

これを『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。

 

 

問題

That's how I was(   )to take her!
そのしくじりで妹を取られている

ヒント:①going ②afraid ③able ④sure

 

 

答え

 

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1

正解

That's how I was able to take her!
そのしくじりで妹を取られている

 

①は「be going to」となって、妹を連れていくことが出来るという未来の話、

②は「be afraid to」となって、妹を連れていくのが怖い、④は「be sure to」となって、きっと妹を連れていく、という意味で、全然内容が変わってしまいます。

だから、「be able to」で、妹を連れていくことが出来た、という③の「able」が正解でした!

 

 

解説

原作通りの翻訳ではなく、意味合いから、英語の定型表現を上手く使って表現した文です。

That's how I was able to take her!
=そうやって俺は彼女を連れて行くことが出来た⇒そのしくじりで妹を取られている

日本語的な直訳ではなく、意味を理解した上での英訳になっていたので、その辺の違いを抑えるのがポイントです。

 

主語+動詞

この例文には、二つの主語+動詞があります。

 

メモ

That's how I was able to take her!

最初の文は主語が「That」、動詞が「is」ですね。

そして、最後の文(節)は主語が「I」、動詞が「was」で、「be able to~=~できる」という定型表現の過去形です。

それをつなぐのが「how」でした。

 

「how」は通常、疑問文のはじめに使うことが多い単語ですね。

参考

How many CD's do you have?(何枚CD持っている?)

How much is it?(これいくら?)

 

しかし今回は、それが文と文(節)をつなぐ位置にあります。

これは、後ろの文(節)が方法だったり原因だったりするときに使う「how」です(名詞節)。

 

この話は長くなるので、今回は「That's how」という定型表現という視点だけで見ていきます。

 

「That's why」と「That's how」

「That's why」は受験の長文問題などでよく見る定型表現ですが、「That's how」もこれと似た使い方ができる定型表現です。

 

もちろん、「why」と「how」と意味の違いから、使い方も違ってきます

ポイント

That's why:そういうわけで〔理由〕
〔例文〕That's why I killed a man.(そういうわけで、人を殺した)

That's how:そうやって〔経緯・原因・方法〕
〔例文〕That's how I became a demon.(そうやって、俺は鬼になった)

この二つの例文の違いがわかりますか?

 

「That's why」の方は、人を殺した理由ですよね。

たとえば、自分の大切な人を殺されて、カッとなって人を殺したとか、そんな理由を説明する時「That's why」を使います。

『鬼滅の刃』でも鬼になった○○○のエピソードがそうでしたね。

 

「That's how」の方は、鬼になった方法とか経緯ですよね。

鬼になった人間は、基本的に鬼になった時の記憶がないことがほとんどですが、上弦の中には、自分から進んで鬼になった人もいましたよね。

そういう人が、自分が鬼になった経緯や原因・方法を説明する時は、この「That's how」を使うのです。

 

このシーンで冨岡さんが「しくじり」と言っているのは、その前の「斧を投げなかったこと」「背中を見せたこと」ですね。

そういう経緯・原因があって、「妹を取られた」ということを言いたいワケです。

 

だから、「そのしくじりが=The failure」なんてことはせずに、「That's how(That is how)」を使って翻訳されているのです。

 

be able to~

「how」以降の文には、「be able to~」という定型表現が入っています。

 

丸暗記することの多い、中学で習う成句ですね。

ポイント

be動詞+able to+動詞の原形=~することができる、~できる

今回はこれを「過去形」の「was」を使って「~できた」を表しています。

 

「to」以降は動詞の原形「take(取る、連れて行く)」が来ていました。

そう、「to+動詞の原形」なので、これは不定詞です。

「to take her(彼女を連れて行く)」ということを「was able(できた)」ということです(不定詞の副詞的用法)。

「take」は非常に多くの意味がありますが、基本的には持って移動する(持っテイク、連れテイク)、で覚えておくとよいですよ。

 

ちなみに、「~できる」というと、助動詞「can」が思い浮かびますよね。

今回の文は過去形だから、「can」の過去形「could」を使って、

I could take her.

にすることができそうな感じがしますね。

 

でも、「could」には出来ません

この文は、「was able to」じゃなきゃダメなんです。

 

「could」じゃなく「was able to」な理由

ここからは中学英語ではやらない、高校英語レベル以上の、ちょっと突っ込んだ話です。

 

そもそも、「can」と「be able to」は、同じ「~できる」と訳せる言葉ですが、かたや助動詞、かたや形容詞(+不定詞)と、まったく異なる文法表現を使っています。

ポイント

助動詞:動詞の意味を助ける

形容詞:名詞の状態や様子を説明する

ということは、同じように訳せる時もあれば、違う時も当然出てきます

 

現在形では同じように使えますが、過去形になったりすると、変わってくることがあるんですね。

 

この例文がまさにそう。

 

そもそも、「be able to」と「can」の意味はこのようになっています。

ポイント

be able to+動詞の原形=~(することが)できる、~する能力/可能性がある

can+動詞の原形=~(することが)できる

 

「~することができる」となる時は、「be able to=can」が成り立ち、「be able to」を助動詞としてみるのが一般的です。

特に現在形で助動詞を使わないケースはそれで大丈夫です。

 

ただ、「be able to~=~する能力/可能性がある」という時は「=can」が成り立ちません。

なぜなら、「able」が形容詞だからです。

「to不定詞」で続く能力や可能性を「できる」という形容詞で客観的に表現しているわけですね。

それが、過去形になったときに若干、「could」とニュアンスが変わることがあるのです。

 

今回の例文もそうでした。

I was able to take her(妹を連れて行くことが出来た)

と語っているのは、禰豆子を連れていくことが出来る可能性があり、それが出来た(able)という客観的な状態の話ですよね。

その時だけの話です。

 

かたや、この文を

I could take her(妹を連れて行くことが出来た)

とすると、動詞「take(連れていく)」が「could(できた)」という話になります。

ですから、過去においてはいつでも出来た(could)、という意味になっちゃうのです。これは主観的です。

 

今回のシーンは、炭治郎が禰豆子を守ろうと覆い被さり、目をつむって禰豆子から目を離したという、その一瞬のことを冨岡さんは言っているわけですよね。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻(集英社)

このシーンは一回だけのことだから、その時の様子を表す形容詞「able」を使った表現、「was able to」を使っているわけです。

 

これが、こういうシーンではなく、「お前は弱いから俺はいつでも妹を連れ去れたんだぜ」みたいな話なら「could」が正解になるわけです。

確かに冨岡さんの実力を持ってすれば、いつだって連れ去れますよね?

そういう時が「could」。だからつまり、過去いつでも出来たら「could」なんです。

ポイント

be able toとcanは過去形だと意味が変わる

was/were able to=(その時だけは)~できた

could=(過去においてはいつでも)~できた

 

 

今日のまとめ

テストにもよく出てくるような表現のアレンジがある場合、あえてそうしたという理由がある、ということですね。

 

今日の言葉

That's how I was able to take her!
そのしくじりで妹を取られている

 

今日のテキスト

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