こんにちは、今日も全集中・英語の呼吸で頑張りましょう!
皆さん、劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』を観ましたか?
私は公開初日の金曜日に観に行きましたが、凄いことになってましたよ。
終わりが24時(深夜0時)と、日付が変わるような時間なのに満員!
内容はもっと凄い!!
これは社会現象になる映画なので、覚悟して行ってくださいね!
そして昨日は土曜プレミアム『鬼滅の刃 那田蜘蛛山編』でした。
那田蜘蛛山編のハイライトといえばやっぱり、キービジュアルにもなっている、炭治郎のこちらのセリフでしょう。
鬼滅の刃のテーマの一つである「家族愛」を象徴した、主人公・竈門炭治郎の名セリフですね。
原作はこちら
これを『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!
※bond=絆
ヒント:「誰も~ない」というときに使う表現です
答え
正解
俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!
で「No one=誰も~ない」が正解でした!
解説
日本語と英語の順序が逆な文でしたが、
英語の呼吸・拾壱ノ型「スラッシュリーディング」を使って分けて考え、
前から訳していくと、なぜこうなったかを理解していくことができます。
スラッシュリーディング
No one can break the bond / that Nezuko and I share!
(誰もこの絆を壊せない / 禰豆子と俺がシェアする)
⇒俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない
No one can break the bond
この文は、主語は「No one ~=誰も~ない」で、動詞が「break=壊す、破る、絶つ」になる文です。
そこに助動詞「can=できる」を使って、
「No one can break=誰も壊せない」
としています。
そして、後ろに「the bond=この絆」を目的語として持ってきて、SVOの参ノ型(第3文型)の形を取り、
「No one(S) can break(V) the bond(O)=誰もこの絆を壊せない」
となるわけですね。
ちなみに「the」なのは、「俺と禰豆子の絆」なので、特定の物を指す「the」ですね。
以下は細かいポイントごとの解説ですが、わかる場合は飛ばしてもらってもOKです。
「できない=can't」じゃなかった理由
普通、「引き裂けない」とあったら、「can」の否定形を使い、
「can't break」とすると思います。
しかし今回は「can break(引き裂ける)」になっていました。
その理由は何か?
それは、炭治郎のセリフ「誰にも引き裂けない」という言葉の意味にあります。
誰にもということは、つまり、ゼロ人ということですよね?
炭治郎の気持ちは、どんなに強い鬼が自分たち兄妹の絆を引き裂こうとしても、それは切れないと言いたいわけです。
実は、「can't」に使う「not」では、「できない」という意味はあっても、必ずしもゼロとは言い切れない否定なんです。
参考
I can not play tennis.
=私はテニスが(出来ると言えるほど)出来ない
I can not play tennis at all.
=私はテニスがまったく出来ない
言い切れないじゃ炭治郎は困りますよね?
「誰にも絶対にできない」と全否定したいわけですからね。
そんな時に使うのが、全否定を表す「no」を使った表現です。
特に今回、「誰にも引き裂けない」と言いたいわけですから、
「誰も~ない」という定型表現としてよく使われる、「no one」を使ったのです。
英単語
〔名詞〕誰も~ない、一人も~ない
〔例文〕No one helped me.(誰も助けてくれなかった)
〔例文〕No one can break the bond that Nezuko and I share!(俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない)
非常に良く使われる表現なので、理屈うんぬんよりも、おぼえた方が早い熟語ですね。
原作は、「誰にも引き裂けない」だったので、ピッタリな表現だったってわけです。
ちなみに、この場合、文頭から「No~」と文全体を否定しているので、「can=できる」そのものの意味も反対になって、「できない」ということになるんですね。
この辺は混乱しがちなので、注意してくださいね!
「引き裂く=break」だった理由
次に動詞の部分。
原作では「引き裂く」でしたが、これをたとえばウィズダム和英辞典で調べると、
「separate(引き離す、分離する、隔てる)」
という単語が出てきます。
日本語でも「セパレート」と言ったりするやつです。
しかし、今回英語版のセリフでは「break」という動詞を使っていましたね。
それはなぜでしょう?
これも理由があります。
動詞「break」は「壊す」という意味で有名ですが、それ以外にもたくさんの訳があります。
英単語
〔動詞〕壊す、割る、折る、骨折する、破る、封を切る、中断する、絶つ、砕く、引きちぎる、両替する
〔名詞〕休息、休暇、中断
しかし、「引き裂く」という訳はどの辞書にも書かれていません。
英単語を理解するのに大事なのは、その英単語が持つ言葉の「イメージ」ですね。
我々日本人が、漢字一文字で色んなイメージが湧く、というのに似ています。
たとえば「break」という単語は、
「ある状態の物が、力が加わって二つ以上に壊れる」的な意味があります。
だから、「割る」「破る」「折る」などの意味もあるわけです。
かたや、先ほどの「separate」は、元々一つだった物を分けるという意味です。
たとえば、「卵の黄身と白身を分ける」というのに使うのが「separate」です。
平和的ですね。
しかし、今回の炭治郎のセリフが出たシーンは、鬼である累が、ムリヤリ兄妹の絆を壊そうとしてきたわけですよね?
そういう時は、和英辞典の「引き裂く」に入っていなくても、セリフの内容的に、「break」が使えるんですね。
だから原文にある「引き裂く」が「break」で訳されていた、というわけです。
ちなみに、日本語にもなっている、
「コーヒーブレイク」という言葉も、作業時間をコーヒーで中断する、という意味ですし、
「ハートブレイク」という言葉も、心が引き裂かれる、という意味ですね。
どちらも、何らかの意図的な力で作られた「break」です(名詞です)。
実は、「意味の多い英単語」は、日本語になっているものも多いので、こういったイメージでおぼえておくというのもわかりやすいでしょう。
後半の「that Nezuko and I share」の部分は、
文の中のもう一つの文で、
主語が「Nezuko and I」が主語、「share」が動詞です。
「that」を使って、前の文とつなげている文(節)で、「the bond」の説明をしているわけです。
(具体的な文法用語でいけば、関係代名詞)
つまり、
「Nezuko and I share(俺と禰豆子がシェアしている)」+「the bond(絆)」ということですね。
それを踏まえると、
メモ
No one can break the bond that Nezuko and I share!
⇒誰もこの絆を引き裂けない・禰豆子と俺のシェアしている
⇒誰も俺と禰豆子がシェアしているこの絆を引き裂けない
⇒俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない(原作)
になる、というわけですね。
なお、関係代名詞「that」については、また別の機会で詳しくやりますね!
今日のまとめ
英語の基本が出来てないと理解が難しい内容でしたが、逆に言うと、基本をしっかり理解することが大事ということがわかっていただけたかなと思います。
その上で、日本語の文字だけではなく、その言葉の「背景」にあるものを考えて訳すことで、元々の言葉のニュアンスをできるだけ残したまま翻訳することもできるようになる、ということですね。
今日の言葉
俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!