『鬼滅の刃』の魅力の一つとして(大人が)よく語るのが、
主人公である、竈門炭治郎の優しさ、素直さですね。
一言で言うと、健やかに育った感がわかる、真っ直ぐで誰にでも優しい少年です。
しかし、
優しくて真面目な男の子はあまり女子にはモテないため、
主人公なのに人気投票でトップ3にも入れない炭治郎。
(子どもにアンケートを採ったらやはり無一郎の人気が高かったです)
それでも、家族想いで働き者という完璧な子ですから、
大人の女性からすると、
「ウチの子もあんな子だったら・・・」「息子/娘婿にしたい」
と思われたりするものです。
さて、
そんな炭治郎がどういう家族に育てられてきたのかがわかるシーンが、今回のお題です。
劇場版「無限列車編」に該当する、コミックス7巻の一コマですので、
まだ見ていない方は、映画かコミックでチェック願います。
それではいきます。
このシーンは、
思いどおりの夢を見させることができる血鬼術を持つ、上弦の壱の鬼・魘夢が、
炭治郎の戦う意志を砕くために、炭治郎の家族に、家族を守れなかったことをののしられる夢を見せた後のシーンですね。
普段、温厚で家族想いの炭治郎だからこそ、
自分が好きな、人のよい家族たちが、人を責めたくるようなことを言うはずがない!とキレたわけです。
(逆に言うと、優しい家族に囲まれたから、優しく育ったとも言えます)
さてそこで本題、この、「言うはずがないだろう そんなことを 俺の家族が!!」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
言うはずがないだろう そんなことを 俺の家族が!!
①will ②would ③can ④could
答え
正解
言うはずがないだろう そんなことを 俺の家族が!!
②の「would」が正解でした!
解説
使っている単語そのものは難しくない文でしたが、助動詞「would」を使った表現がポイントでした。
主語+動詞
主語は「My family」、
動詞は「say」で、
「would never」は動詞「say」に意味を追加する、助動詞+副詞でした。
目的語(つまり文型は参ノ型・第3文型)となる「that」は、
「あれ」で訳される単語ですが、場合によっては「それ」になることもあります。
通常、一度話題にのぼった「それ」は「it」が使われるのですが、
このシーンは、
炭治郎を責めるセリフを吐くという状況そのものを強調して指していますので、
「そんなこと」「あんなこと」など、特定の事象を表現する代名詞「that」を使っているのです。
ちなみに「そんな」を使った表現の例がこちら。
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助動詞「would」
助動詞「would」は、
同じく助動詞の「will」の過去形と言われています。
とはいえ、
「will」は「意志・未来」を表す助動詞です。
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参考鬼滅の刃の名シーンでわかる「will」の使い方
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その、意志の過去形? 未来の過去形?
とピンと来ないのが現実です。
この辺はまた詳しくお話ししたいと思いますが、
「will」の訳が「~だ、~だろう」だから、
「would」の訳が「~だった、~するつもりだった」と
単純に日本語を過去形にすればいいというものではなく、
「would」は「would」としての訳が存在します。
英単語
〔助動詞〕~だろう、~するつもりだ、~してくれませんか、~したものだ、~だったろう、~するつもりがある
いかがですか?
「will」の意味でもある「~だろう」が入っているのは気になりますが、
なんとなく、
なんとなくの違いですが、
全体的にボヤッとした言い方になっているのがわかりますか?
実は、英語の助動詞は、
過去形と言いながら、現在形の助動詞よりも「ボヤッと」した意味になりやすいのです。
大切なのは「日本語訳」ではなく、
助動詞「would」が動詞に働きかける役割というか、イメージなのです。
「would never」
しかし、
ボヤッとした表現と言いながらも、
実際に使われているのは、炭治郎がハッキリとカチキレているシーンですよね。
その秘密は、後ろに付いた副詞「never」にあります。
「never」は、
「絶対に~ない」「決して~ない」という意味の、
「not」よりも強い、最高レベルの否定表現です。
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このシーンはあくまでも、
炭治郎の家族が炭治郎を責めまくるという、あり得ないにしても「もし~だったら」という仮定の話です。
こんな時、
「will」よりもボヤッとした「would」を使います。
(これを「仮定法」と言います)
が、そんな用語を丸暗記するよりも、
ボヤッとしたwill+最高レベルのnot
で、「決して~することはないんだ」
という意味として理解する方がシンプルです。
ボヤボヤしている旦那さんに、
ハキハキした嫁さんがついているようなものです。
嫁さん1人よりキツめというか、ピシッとしますよね?
「あのぅ、おこづかいを上げてほしいんですけど……」「絶対ないわ!」
「would never」はそんなイメージです。
ちょっと強引な例えですが、
「would never」はそれくらい、あり得ないことを指す表現なんですね。
実際、英会話の定番表現で、
海外ドラマや映画ではよく見られるセリフですので、
字幕などを見ていて、「あっ、一緒だ!」と気づく機会がたくさんあると思います。
「仮定法」とか「willの過去形」というと、そこまで強めの意味じゃないんじゃないか?
と思えてしまう「would never」ですが、
実際には、
普段温厚な炭治郎がガチギレしたシーンのように、仮定の話に対しての強い否定を表しているわけですね。
今日のまとめ
英語学習でハマるのは、なんでも日本語で理解しようとすることですが、この「would」もその一つです。
「willの過去形」「仮定法」などという日本語の言葉にしばられずに、どんな時に「would(この場合はwould never)」を使うのか? ということを理解しておくことが大事です。
今日の言葉
My family would never say that!
言うはずがないだろう そんなことを 俺の家族が!!