『鬼滅の刃』名シーンでわかる英文法

鬼滅の刃の名シーンでわかる「to不定詞」①不定詞の役割

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「英語で共通してつまずくのが、

「to不定詞」ですね。

 

「to+動詞の原形」だから「to不定詞」
「to不定詞」は「名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法がある」

というナゾの説明で、みんなから超嫌われてるヤツです。

まるで冨岡さんみたいな。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第6巻(集英社)

 

しかし実際、

冨岡さんのことを知れば知るほど「いい人」「凄い人」「天然な人」というのがわかるじゃないですか?

「to不定詞」も同じです!

 

わかってしまえば、「to不定詞」ほど凄いヤツはいません

 

なぜなら、

「to不定詞」がわかれば、英文の「読み方」がわかるからです。
(感覚的にでもいいので)

 

逆に言えば、ちょっと過激な表現ですが、

「to不定詞」がわからなければ、英文はほぼ正しく読めないということになります。
(だから嫌われるんですが)

 

そんなこと言うと、ハードルが上がるかもしれませんが、大丈夫。

私も、「名詞的用法」とか「副詞的用法」とか、何度説明を読んでも、いまいちピンときません。

 

そんな「何度読んでもわからない説明」ではなく、実際にどう使われているのか、ネイティブ英語による『鬼滅の刃』翻訳版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』を通じて、「to不定詞」を改めて学習していきましょう、一緒に!

 

まずは、

「to不定詞」の役割から!

 

「to不定詞」とは何か?

「to不定詞」は、

超カンタンに言いますと、

「動詞」を使った説明です。

 

これはもう、実際のネイティブ英語での使われ方を見てもらった方が早いですね。

 

まずはこちら。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1

狭霧山で鱗滝さんに修行をつけてもらった炭治郎が、ある日突然、鱗滝さんに言われたセリフですね。

鱗滝左近次

I have nothing more to teach you.
もう教えることはない

 

この文は、

I have nothing more=儂にはこれ以上ない
to teach you=お前に教えることが

という二つのパートによって出来ています。
(詳細の解説はこちら

 

この、後半部分の「to teach you」が、「to不定詞」ですね。

I have nothing more=儂にはこれ以上ない

でも文は一応成立してるんですが、

これ以上、「何が」ないかわかりませんよね?

 

そこで、「to不定詞」

to teach you=お前に教えることが

を追加して、一つの文にまとめたのがこちらなのです。

 

なお、

よくある「名詞的用法」とかの「○○的用法」は、その「to不定詞」の役割が、変化するってことだけ、今の所おぼえておけばOKです。

 

「to不定詞」は動詞を使った説明

このように、

文の説明が足りない時に、「to不定詞」はよく使われます

 

かといって、

「追加説明」ならなんでもかんでも使えるわけではありません。

あくまでも「動詞」を使った追加説明のみに限ります

 

だって、

「to不定詞=to+動詞の原形」ですからね。

 

しかし逆に、動詞であれば、バンバン使えるということでもあります。

 

こちらは、劇場公開中の「無限列車編」での炭治郎の夢の中での一コマ。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.7

竈門炭治郎

I need to hurry!!
早くしないと……!!

Nezuko is bleeding!
禰豆子が血を流してる

※bleed=[動詞]血を流す

この「need=必要がある(~しないと)」も「hurry=急ぐ」も、いずれも「動詞」です。

 

I need=俺は必要なんだ

だけでは、何が必要かわかりませんよね?

 

たとえばこれが、「刀が必要なんだ」なら、

I need a katana.

になります。

 

でも、刀って物だから名詞ですよね。

 

じゃぁ、「急ぐ=hurry」って何って言ったら、「動詞」です。

これを、「to hurry」という「to不定詞」の形にして、

I need to hurry.

とすれば、

「急ぐ必要があるんだ=早くしなきゃ」という意味になります。

 

動詞を使わないと説明できないことがあるわけです。

その時に必要になるのが「to不定詞」なんですね。

 

英語は○○したい言語

「to不定詞」は、

あくまでも「説明」なので、基本的な使い方は「後付け」です。

 

例えばこちらの、

以前もご紹介した、那田蜘蛛山にて、

「俺は嫌われてない」という義勇さんの迷言があった、ちょっと前のシーンを見てもらいましょう。

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第5巻(集英社)

颯爽と登場して炭治郎を危機から救い、「俺が来るまでよく堪えた、後は任せろ」です。

カッコいいですよね。

ことあるごとに炭治郎(&禰豆子)を救っている義勇さんです。

 

このセリフが『鬼滅の刃』ネイティブ英語翻訳版でどう訳されたか見てみましょう。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.5

冨岡義勇

You did well to hold on until I got here.
俺が来るまでよく堪えた

※did=[動詞]した
※hold=[動詞]持っている、保つ、(+onで)持ち堪える

「to hold」という「to不定詞」を使った文になっていますね。

 

注目してもらいたいのは、「語順」です。
(長文なのでスラッシュリーディングしています)

語順の比較

〔原作〕
俺が来るまでよく堪えた

〔英訳〕
You did well / to hold on until I got here.
お前はよくやった/俺がここに来るまで堪え抜くことを

 

原作は「よく堪えた」という言葉が文の最後に来ています。

 

しかし英語では、

太字で強調した、「to不定詞」の前にある、

You did well(お前はよくやった)

が先に来るわけです。

 

これがメインの文ですね。

 

これは何を指しているかというと、

英語は、「よくやった」という結論を先に言いたい言語だということなんですね。

だから、

後ろに「to不定詞」という追加の理由・説明をつけるのです。

 

 

「to不定詞」の攻略法

「to不定詞」=冨岡さん?

以上のことから、

メインの文と「to不定詞」の関係は、

 

物語の主人公である炭治郎がメインの文、

後から来たヘルプ役の冨岡さんが「to不定詞」のようなものです。

 

「to不定詞=冨岡さん」なんですね。

 

ですから、

「to+動詞の原形」、つまり「to不定詞」を見かけても怖がらなくてもいいです。

 

冨岡さんも、

一つひとつの行動をしっかり見てあげれば、いい人というのがわかるように、

 

「to不定詞」も、

冷静に、メインの文をまず訳して、そこから順番に「to不定詞」を訳せばよく、

後ろから訳すなんてことはしなくていいです。

まして、「名詞的用法」とか別に考えなくていいです。

 

なぜなら、

英語ネイティブの人は後ろから話していないですし、「○○的用法」なんて知りませんからね。

 

前から訳して、

日本語として書き出すときに、順番が入れ替わるのはいいんです。

ですが、最初からそんな入れ替わることを想定して考えるなんて、時間のムダです!

 

それでは実際に、

「to不定詞」を使っている文を、この英語の感覚(英語の呼吸)を使って訳していきましょう!

 

「to不定詞」の訳し方

ここからは、

単行本8巻から、アニメ派で劇場版を見ていない人にはネタバレになるかもしれないシーンを含みますのでご容赦ください。

 

猗窩座との戦闘が終わり、炭治郎を座らせて話す煉獄さんのシーンです。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8

煉獄杏寿郎

Don't worry over my death.
俺はここで死ぬことは気にするな

I'm Hashira.
柱ならば

It's my job to shield you junior members.
後輩の盾となるのは当然だ

※shield=[動詞]盾になる
※junior member=[名詞]後輩

とてもハタチとは思えないことで話題になった、煉獄さんの「理想の先輩」ゼリフです。悲しくもあり、胸熱でもあるシーンです。

 

この、最後の文、

煉獄杏寿郎

It's my job to shield you junior members.
後輩の盾となるのは当然だ

に、動詞「shield(盾になる)」を使った、「to不定詞」が使われていますね。

学校英語ではまず使いませんが、「シールド」は名詞でも動詞でもあるんですね。

 

「to不定詞」は、メインの文の解説なので、この手前でズバッと斬り(スラッシュリーディング)、順番に訳していきます。

 

スラッシュリーディング

It's my job / to shield you junior members.

It's my job=これが俺の仕事だ
to shield you junior members=君たち後輩たちの盾になること

そうするとどうでしょう?

これを日本語的に「まとめる」とどうなりますか?

 

スラッシュリーディング

It's my job / to shield you junior members.

⇒君たち後輩たちの盾になることが俺の仕事だ

と訳せるわけですね。

 

実はこの文、

「~こと」で終わるから名詞的用法だし、

「It is ... to do」構文という用法なのですが、

「to不定詞」を使った文の訳し方を知っていれば、これらを丸暗記する必要もないんです。

 

なぜなら「to不定詞」がわかれば、

「何を言っているかがわかる」からです。

 

「to不定詞」を理解すると、英文が読めるというのはそういった理由です。

 

「to不定詞」がたくさんあっても怖くない

基本的に「to不定詞」は、

動詞を使った説明なので、文自体が長くなることが多いです。

 

逆に言えば、「to不定詞」をちゃんと訳せれば、長文に強くなれると言えます。

 

そんなわけで、鬼滅英語版に登場した、「to不定詞」を複数使った、超長いセリフをご紹介しましょう。

先ほどのセリフのちょっと前のシーンです。

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8

煉獄杏寿郎

I want you to tell my little brother Senjuro to take the path that he thinks is right, to follow his heart.
弟の千寿郎には 自分の心のまま 正しいと思う道を進むよう伝えて欲しい

And tell my father to take care of himself.
父には体を大切にして欲しいと

基本の文は、

I want you to~=俺は~をしてほしい

ですが、「to不定詞」がたくさん入っていますので、スラッシュリーディングをして整理してみますと、

スラッシュリーディング

I want you / to tell my little brother Senjuro / to take the path that he thinks is right, / to follow his heart.

/ And tell my father / to take care of himself.

こんな感じで斬っていけます。

「to不定詞」が多くてゾッとしますね。

 

これも前から訳せますが、一つ注意。

二つ目の文は「And」という接続詞から入っていますが、その後は「動詞の原形tell」でしたね。

これは、一つ目の文の「to tell」の「tell」と同じです。

つまり、「to不定詞」の並列関係にあるわけです。

まとめるとこんな感じになります。

 

このように複雑な構造になっていますが、「to不定詞」を一つずつ訳していけば、原作の日本語と同じ意味を言っているのがわかります。

 

なお、

「スラッシュリーディング」と「to不定詞」の相性はとてもいいので、長文読解スキルを上げたい方はぜひ、この機会に身につけて下さい!

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「to不定詞」を理解するメリット

長文読解が可能に

これまで見て来たように、

「to不定詞」は「動詞を使った説明」ですから、どんどんつなげていくことが可能です。

でも、どんどんつなげていけば当然、文も長くなりますね。

 

こうやって、

後付けの説明によく使われるのが、「to不定詞」や「関係代名詞」なんですね。

だからこれらが、学生たちから嫌われるわけです。

自分たちの(つまり日本語の)常識では理解できないからですね。

 

しかし、

「to不定詞」の役割がわかっていれば、訳し方がわかりますから、まったく怖くありません。

 

むしろ、英会話する時でも、後から後から「to+動詞の原形」をつなげていけば、多くのことが話せるようになります。

 

あれもこれも全部「不定詞」ということがわかる

先ほどの煉獄さんの例で「It is ... to」構文は「to不定詞」というお話をしました。

が、実は、

「want to=~したい」
「have to=~しなければならない」
「be going to=~するつもりだ」
「be able to=~できる」
「look forward to=~を楽しみにしている」
「how to=~の仕方」
「too A to B=AすぎてBできない」

といった、「to」を使った定型表現をたくさんおぼえさせられますが、あれもこれも実は全部「to不定詞」なんですね

 

だから、

必ず「to」の後に動詞の原形が来ます

それぞれの意味と「to不定詞」との関係は、また機会があればご紹介します。

 

 

本日のまとめ

「to不定詞」は、とても難しく考えることが当たり前になってしまっていますが、実はとても簡単に考えるべき物だということがわかっていただけたでしょうか?

あまりにも多くの表現に使われているぐらいなので、別々に考えてしまいがちですが、あくまでも「メインの文(炭治郎)を助ける冨岡さん」ということを理解しておけばOKです。

 

なお、次回は、

なぜ「to不定詞」は「to」なのか等、「to不定詞」の存在理由を深掘りしていきます。

そうすればもっと、「to不定詞」を自在に使いこなせるようになります!

 

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