劇場公開中の『鬼滅の刃~無限列車編』が次々記録を打ち立てていますが、
この作品の魅力は、最近忘れられがちな、
「人のために尽くす」
ということをストレートに描いているところですよね。
だからこそ、いい大人が見ても泣けるんでしょう。
それこそ、道徳の教材にしたいくらい。
今日は、
まさにそれを凝縮した、煉獄さんの胸がアツくなる名セリフから。
※原作を未読で、映画もまだ見ていない人はネタバレになるので注意。
「幹部と幹部がやりあったら、どちらかはただじゃ済まない」
という本来は当たり前なことを表現した、鬼滅らしい過酷な世界観ならではの、命を賭けた魂のセリフです。
このシーンを『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?というのが今日の問題です。
問題
I( A )fulfill my duty!
俺は俺の責務を全うする!!
※fulfill=[動詞](責任を)果たす、duty=[名詞]責務
I( B )let anyone here die!
ここにいるものは誰も死なせない!!
※let=[動詞]好きにさせる
選択肢A:
①can ②will ③must ④should
選択肢B:
①can't ②won't ③mustn't ④shouldn't
A、Bいずれも同じ系統の肯定形と否定形です!
答え
正解
I will fulfill my duty!
俺は俺の責務を全うする!!
I won't let anyone here die!
ここにいるものは誰も死なせない!!
AもBも②が正解でした!
「意志」を表す助動詞「will」を使った表現でしたね。
解説
willを使った肯定文と否定文でしたが、
後半の文の方が難しい文ですので、別々に行きます!
意志の肯定文
煉獄杏寿郎
I will fulfill my duty!
俺は俺の責務を全うする!!
SVOの形を取る、英語の呼吸・参ノ型(第3文型)で、
「意志」を表す助動詞「will」を使って、
S:自分(=I)は、
V:自分の責務(=my duty)を
O:果たす(=fulfill)意志がある(=will)
という肯定文です。
「fulfill」は一見動詞には見えませんが、これでも動詞です。
英単語
〔動詞〕(役割を)果たす、(条件を)満たす、(任務を)遂行する、(夢を)実現する、(目標を)達成する、(場所を)占める・埋めつくす
意味のたくさんある言葉ですが、本質は語源である、
ポイント
[動]fulfil=[形]full(十分に)+[動]fill(満たす)
※full+fillだけど、fulfilと「l」が一つなので注意!
で出来ているため、文によって日本語訳は変わりますが、
full(フル)に満たす感を出せる動詞ですね。
なので「全(まっと)うする」という、
「全」という字が入った表現にはピッタリです。
今回は、
煉獄さんの「柱」としての「責務=my duty」を最大限行う、
つまり、「鬼を殺す」のではなく、
「鬼から人々と後輩を守る」という責務を最大限全うする、という宣言ですよね。
だからそれを、
意志を示す「will」と、
責任を最大限に全うする「fulwill」を使って表現したんですね。
ちなみに「duty(責務)」ですが、
人気ゲーム「Call of Duty(コール・オブ・デューティー)」の「duty」でもあります。
英単語
〔名詞〕義務、義理、責務、役目、職務、任務
意志の否定文
煉獄杏寿郎
I won't let anyone here die!
ここにいるものは誰も死なせない!!
「won't」は、「will not」の短縮形ですね。
つまりこちらは逆に、否定的な意志を表し、。
「I won't let~」で「(俺は)~させない」という意味の否定文になります。
先ほどの文と異なり、
動詞が「let(させる)」と「die(死ぬ)」の二つあるため文の構造が複雑に見えますが、
使役動詞「let」を理解すると文の構造が見えてきます。
使役動詞「let」
「let」は使役動詞と呼ばれるものの一つで、
「let's go」のように「提案」を表す意味もありますが、
ここでは「許可」を表す動詞として使われており、
「~させる」「~することを許す」といった意味になります。
英単語
〔動詞〕(したいように)させる、(~するのを)許す
とくに、
「let+名詞+動詞の原形」の形で、
「名詞に動詞させる」という意味になります。
ポイント
let+人・物+動詞の原形=人・物を動詞させる
〔例文〕
Let me tell you.=言わせてもらう
I won't let you down.=落胆させないから
なお、
後ろが「動詞の原形」になっているように、
これは「主語+動詞」の動詞ではなく、
「to」のつかない「不定詞」、つまり「原形不定詞」を表します。
文型としては、SVOCの、伍ノ型(第5文型)です。
(この辺の話はまた別途)
今回のケースは、
[動]let=させる
[名]anyone here*=ここにいる誰も
[動]die=死ぬことを
*hereは副詞なので、正確には名詞句
ということで、直訳は
「I won't let anyone here die=俺はここにいる誰も死なせる気はない」
となりますので、原作の
「ここにいる者は誰も死なせない!!」
というセリフの英訳にピッタリですね。
なお、
この「I won't let 名詞+動詞」は
「名詞を動詞させはしない」というネイティブ定番会話表現なので、映画にはよく登場してきますよ!
そんな時は、煉獄さんのこのセリフを思い出して下さいね!
今日のまとめ
「炎の人」煉獄さんらしく、
意志の「will」を使った肯定文と否定文を使った名セリフでした。
いい言葉ですので、このままおぼえてもいいかもしれませんね!
今日の言葉
I will fulfill my duty!
俺は俺の責務を全うする!!
I won't let anyone here die!
ここにいるものは誰も死なせない!!
今日のテキスト