昨日、6/1は、恋柱・甘露寺蜜璃さんの誕生日でした。
・・・が、昨日は更新できなかったので今日の更新。
そして、今までなんと、文法の解説に甘露寺さんは登場したことはあっても、甘露寺さんの名言シリーズをやっていなかったので、初の!甘露寺さん名言の英語版解説です。
目次
お題は甘露寺さんのあの名言
甘露寺さんは、実在の名字で、旧華族です。
作中にも「何度もお見合いした」と書かれているように、基本的にいいとこのお嬢様なのですが、「ヘンな髪色」「怪力」「異常な食欲」のためお相手に恵まれなかったものの、お嬢様育ちゆえの天真爛漫さで、暗い過去のキャラが多い『鬼滅の刃』において、異色の存在感を放っています。
そんな、天真爛漫さ極まれりというのがコチラのセリフ。
「痣の出現条件を教えてください」と、産屋敷あまね(お館様の妻)に問われた時に、痣が出現した時の「感じ」を説明した甘露寺さん。
この、「ぐあああ~ってきました!」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
ぐあああ~ってきました!
Like whoom! Fwaaah!
グッてしてぐぁーって
My heart and stuff was all ba-dump ba-dump and my ears rang like ping!
心臓とかがばくんばくんして 耳もキーンてして
※and stuff=など、rang=ring(鳴らす)の過去形、ping=ピーン
Crick-crack-pop!
メキメキメキィッて!!
選択肢
①got
②came
③made
④hit
どの動詞が入るでしょう?という問題です。
日本語的に考えるよりも、イメージで考えた方がわかるかも??
答え
正解
ぐあああ~ってきました!
Like whoom! Fwaaah!
グッてしてぐぁーって
My heart and stuff was all ba-dump ba-dump and my ears rang like ping!
心臓とかがばくんばくんして 耳もキーンてして
Crick-crack-pop!
メキメキメキィッて!!
④の「hit」が正解でした!
解説
It hit me like waaaah!
ぐあああ~ってきました!
主語=It
述語動詞=hit
目的語=me
で、直訳すると「It(それが) hit(当たった) me(私に)」で、
「hit=打つ、当たる」
を使っているので攻撃されているようなイメージですが、
「ピンと来た」「思い当たった」「打たれた」というような意味になるネイティブ会話表現です。
定型文
=ピンと来た、思い当たった、わかった、(何かに)打たれた
甘露寺さんのセリフ、
「ぐあああ~ってきました!」の「きました!」の部分が該当しますね。
日本語の「思い当たる」の「当たる」が、
実際に何かに当たるわけではないのと同じように、
何かが直接「hit」したわけではないですが、
自分の意志とは無関係に自分に対して衝撃を与えた、という意味では同じですよね。
今回はこの後に、
前置詞「like ○○=○○のような」がついて、
後ろの「waaaah(ワーーーー)」のようだとして、
It hit me like waaaah!
=わ~~~という感じで来た!
(原作)ぐあああ~ってきました!
と訳されたわけですね。
Like whoom! Fwaaah!
グッてしてぐぁーって
これも同じく「like=~のような」を使った表現ですが、
「whoom」も「Fwaaah」も、通常の単語として存在しない表現で、
なんと訳したらいんでしょう笑。
原作の「ぐあああ」「グッ」「ぐぁー」はすべて「g」系でしたが、
英語版は「w」系なのが不思議な感じがしますが、
漫画の擬音(オノマトペ)は現地の人がわかる音の感じになるので、そういうところなんでしょうね!(たぶん)
My heart and stuff was all ba-dump ba-dump and my ears rang like ping!
心臓とかがばくんばくんして 耳もキーンてして
「心臓」は英語で「heart」、つまり「ハート♥」ですね。
その後の「stuff」は、単なる訳で行くと
英単語
[名詞]もの、こと
[動詞]つめこむ、おしこむ
となります。
同じく「もの、こと」を表す名詞「thing」よりもカジュアルな(口語的な)表現で、
特に数えられないものの場合は「thing」ではなく「stuff」を使います。
そのため、海外の映画やドラマの会話ではよく登場しますね。
「stuff」と「staff」の違い
「stuff」は、
動詞に「つめこむ」という意味があるように、
具体的にのべるまでもないけど、存在はしているものを指すので、
英熟語
=その他、いろいろ、なんやかんや、など
という感じで、名詞の後に追加して
My heart and stuff
=心臓とかその他いろいろ
(原作)心臓とか
の様に使う表現です。
なお、発音は、日本人には「スタッフ」に聞こえますが、
いわゆる「スタッフ=staff」とスペルも発音も違うので要注意です。
「stuff」と「staff」
stuff=(漠然とした)もの、こと
発音記号〈stΛf〉
staff=スタッフ、職員、従業員
発音記号〈stæf〉
「ドキドキ」「ばくんばくん」
その後に続く「ba-dump ba-dump」は、
マンガでよく使われる「ドキドキ」というオノマトペの英語翻訳時によく使われる英訳です。
その前に「all=すべての」という形容詞がついていますが、
英熟語
=ひたすら○○
という熟語表現で、
all ba-dump ba-dump
=ひたすらドキドキして
(原作)ばくんばくんして
とすることで、
とにかくひたすらドキドキして凄かった!ということを表しているわけですね。
先ほども言ったように、
「ドキドキ」には「ba-dump ba-dump」というオノマトペがありますが、
その最上級「ばくんばくん」にはオノマトペがなく、
このへん、オノマトペが日本より少ない英語圏ならではの苦肉の策的な訳になったのかな、と思います。
耳がキーン?
その後の、
my ears rang like ping
ですが、
my ears=両耳
rang=ring(鳴る)の過去形
like=~のような
ping=「ピーン」(という音)
で、
my ears rang like ping
=私の耳がピーンと鳴ったみたいになった
(原作)耳もキーンってして
となっていたんですね。
これまた「キーン」が訳せないのか、「ピーン※」となっていましたね。
(※「ping」は「g」を発音しないので注意です!!)
以上を組み合わせて、
My heart and stuff was all ba-dump ba-dump and my ears rang like ping!
=私の心臓とかがひたすらドキドキして、両耳もピーンって鳴った
(原作)心臓とかがばくんばくんして 耳もキーンてして
と訳されていた、というわけです。
これは唯一ちゃんとした文の形になっているものでしたね。
Crick-crack-pop!
メキメキメキィッて!!
原作もそうですが、英訳も意味不明!
・・・とあきらめてはいけないので、それぞれの意味を整理しましょう。
crick=筋肉に引きつり、筋違い
crack=ひび割れ、鋭い大きな音
pop=飛び出る、ポンと、パーンと
となっていました。
英語のマンガは、
動詞をそのままオノマトペにすることが多いので、
このイメージのまま、
これらが合わさったような感じで、
原作の「メキメキメキィ」という、体中がヘンな感じや音がして力があふれたってことを表現したんでしょう、たぶん!!
ちょっとネットで調べてみると、
唯一、カイロプラクティック中の「音」として説明があるページがありましたので、
日本人的には「ポキポキ」という音の訳として考えるとわかりやすいかもですね。
ちなみに、
「Crick」は、マウスの「クリック=Click」とスペルも発音も例によって違うので要注意!
今日のまとめ
日本のマンガの表現は、日本人にしかわからないところがあって、
それをなんとか英語圏の人にわかるように、という感じで、甘露寺さんの元気な感じが伝わる英訳になっていたかなと思いますが、解説泣かせでした。
はやくアニメでこのシーンを聴きたいですが、いつになるのでしょうか・・・。
今日の言葉
It hit me like waaaah!
ぐあああ~ってきました!
Like whoom! Fwaaah!
グッてしてぐぁーって
My heart and stuff was all ba-dump ba-dump and my ears rang like ping!
心臓とかがばくんばくんして 耳もキーンてして
Crick-crack-pop!
メキメキメキィッて!!