おはようございます!寒いですね!
今日も引き続き、『鬼滅の刃』原作23巻の発売を記念した、
全国紙5紙の新聞全面広告がネット公開されているのにタイアップした企画、第4弾です。
今日はネタバレ感の強いセリフです。
この、煉獄さんのセリフ、「俺は信じる 君たちを信じる」を
『鬼滅の刃』英語翻訳版のネイティブ英語でどう訳された?という問題です。
問題
That's what I( ).
俺は信じる
I( )in you.
君たちを信じる
選択肢(同じものが入ります)
①trust
②credible
③sure
④believe
目次
答え
正解
そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ
That's what I believe.
俺は信じる
I believe in you.
君たちを信じる
④の「believe」が正解でした!
解説①「単語」
単語そのものも大事ですが、文の形にも注目してほしいです!
「信じる」を英語でなんと言うか?
選択肢の単語は、それぞれ次の意味がありました。
①trust=[動詞]信頼する、信用する、信じる
②credible=[形容詞]信用できる
③sure=[形容詞]自信がある、確信している
④believe=[動詞]信じる、信用する、だと思う
いずれも似たような意味合いがありますが、
今回の文では、いずれも「I」の後ろに来るので、
形容詞ではなく動詞が来ないといけません。
(形容詞ならbe動詞などの状態動詞が必要)
そうなると選択肢は、
①「trust」か
④「believe」ですが、
両方とも「信じる」という意味があります。
日本語訳だけで考えると、
「I trust」でもあってるような気がします。
でも、今回はどちらのセリフも、
俺は信じる
⇒That's what I believe.
君たちを信じる
⇒I believe in you.
と「believe」だけを使って訳されています。
「believe」じゃなきゃダメな理由があるからです。
「trust」と「believe」の違い
実は「trust」と「believe」、
同じ「信じる」という意味がありますが、
trust=(人間を)信じる
believe=(行動を)信じる
という使い分けがされているんです。
このシーンでは、
煉獄さんが炭治郎たちに
「もっともっと成長しろ」
「そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ」
と言っていますね。
これは、
無限列車内での炭治郎たちが一般市民を守って戦う姿、つまり行動を見て、
もっと成長すれば、柱にたどり着けると「信じる」ことができたからです。
だから、
「人間」を信じる「trust」ではなく、
「行動」を信じる「believe」を採用した、というわけですね。
解説②「文法」
That's what I believe.
俺は信じる
普通に考えたら、
「信じる=I believe」ですが、それは後に来ていましたね。
では、
この「That's what」は一体何なんでしょう?
必要な理由は何でしょうか?
これは、
「That's what=それが~だ」
という英語ネイティブはよく使う表現で、映画やドラマにもよく登場します。
「~」の部分には基本、主語+動詞が決ます。
ポイント
That's what~=それは~だ、だから~だ
〔例文〕
That's what I thought.(そう思ったんだんだよ)
That's what I say.(そう言ったよ)
That's what I said.(そう言ったんだよ)
「That's why」などと同じく、ネイティブはよく使う表現ですね。
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参考「そんなだからみんなに嫌われるんですよ」を英語で?【★★★】
今回は那田蜘蛛山編のクライマックスで、柱vs柱となったシーンから。 お館様の前で「鬼とは仲良く出来ない」と言ってたくせに鬼を殺そうとするとかばった冨岡義勇に、胡蝶しのぶがイラッとしながら嫌味を言ってい ...
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他にも「That's how~」などがありますが、これらの違いはまたの機会にご紹介します。
なぜ「I believe」だけじゃダメなのか?
「That's what」は、
(主語+動詞)what(主語+動詞)
というナゾな形を取るので、とても意味がわかりにくい表現です。
しかし、
使う理由は実にシンプルで、
「That is~=それは~だ」から始まっているように、
先に会話の中で話された内容(That)を指定して、
「I believe」と言いたいだけなんですよね。
このシーンが非常にわかりやすくて、
煉獄さんが「信じる」と言っているのは、その前のセリフ、
煉獄杏寿郎
Someday you guys will become Hashira and be the pillars of the Demon Slayer Corps.
そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ
※この文の解説は後述
を、「That is」で指定して、それを「(俺は)信じる=I believe」と言ってるんですね。
その接着剤が「何」を表す「what」なんです。
なぜって、「それは~だ」と言われても、「何(what)?」って聞きたくなりますよね?
細かい話をすると「I believe that」を変化させたものなんですが、
こうやって理解した方がわかりやすいし、前から考えるので英語的です。
「That's wh-」は、
文の流れがあってこその表現ですから、
英語ネイティブの人はよく使う、ということです。
逆に、
単語ごと、文ごとに訳すことにとらわれている日本人には、これが難しく感じるのです。
「That~」の内容
ではその「That」にあたる文を、新聞広告には入っていませんが、英訳の内容を掘り下げて行きます。
煉獄杏寿郎
Someday you guys will become Hashira and be the pillars of the Demon Slayer Corps.
そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ
この文、
「and」が使われていますが、
その後ろが「be動詞の原形」なので、
「become」とともに助動詞「will」の後に続く並列関係にあることがわかりますね。
原作では、「柱」が1回しか出ないセリフでしたが、
英訳では、「Hashira」と「the pillars」と、「柱」が2回登場するんです。
鬼滅の英語版『Demon Slayer』では、
役職である「柱」はまんま「Hashira」と訳している関係で、
英語圏の人に「Hashira=組織を支える柱」とわかってもらうため、
「Hashira」と「pillars」を分けて書いてるんですね。
英単語
[名詞]柱、支柱、中心人物、大黒柱、中心人物、根幹部分
面白いことに、
英語でも、何かを支えるものの比喩は「柱(pillar)」を使うんですね。
参考
Hashira are the pillars of the Demon Slayer Corps.(柱は鬼殺隊を支える柱だ)
Gyomei is a pillar of the Hashira.(行冥は柱の要だ)
なお、
「鬼殺隊」の英訳についてはこちらで解説しています。
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参考「鬼殺隊」を英語で?【難易度★★★★★】
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I believe in you.
君たちを信じる
ちょっと間が空きましたが、最後の「君たちを信じる」ですね。
「you」は「あなた」ですが、
この場合は前の文で「you guys=君たち」と複数を指していますし、
炭治郎だけでなく、
煉獄杏寿郎
竈門少年、猪頭少年、黄色い少年、もっともっと成長しろ
と言っているワケですから当然、「you=きみたち」です。
前に「you guys」を使っているので、
あえてそれをくりかえさないというのが英語的です。
そして、
その「you」も、前に前置詞「in」がついていましたね。
「I believe」だけじゃなくて、「I believe in」になっていました。
「I believe」と「I believe in you」の違い
実は、
「I believe you」でも、
「I believe in you」でも、
訳は同じく
「君(たち)を信じる」
となります。
じゃぁ、「in」の存在意義ってなんですかと。
シンプルに考えると「in」を使う時って、
「There is a secret in my room(私の部屋の中には秘密がある)」
のように、「in」はその中にある物を指しますよね?
なので、
「in you」とくれば、
「あなたの中にあるもの=心、魂、可能性」を指す、
ただそれだけなんです。
こうした方が、
ただただ「I believe you」とするよりも、
煉獄さんが炭治郎たちの人間性、鬼殺隊士としての在り方、そして未来すべてに期待を持って
「俺は信じる」
といった意図が伝わりやすくなるんです。
今日のまとめ
日本語でも、前後の文脈によって文の受け取り方が変わるように、
英語でも、文脈の影響を受けて英語の表現が変わる、という最たる例でした。
そういう意味でも、名セリフだけじゃなく、文の流れすべてに意味があるってことですね。
より詳しい「believe」と「trust」の違いや、「That's why」や「That's how」の細かい違いはまた別の機会にご紹介します!!
今日の言葉
That's what I believe.
俺は信じる
I believe in you.
君たちを信じる